続々・LIGHT JOKER

□LIGHT JOKER〜剣士に生まれる独自の絆〜
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こんにちは、ワイン・リアラ・ナイツです。この間のナカモトさんのお父さんとの戦いは大変でした……吸血鬼さんに知らされるまでは何も知らなかったんですけどね。「輪」の皆さんは本当によく頑張ってくれました。
では、六十一気絶目、どうぞお楽しみ下さい!



朱雀の朝は早いときと遅いときの差が激しい。今日はなんと早朝四時起きだ。生活リズムはかなり悪い。
暇なのでしばらく草薙と風月の手入れをしていると、ふとあることを思い出した。
「…………。よし」
今日一日の予定が決まった。学校などそっちのけだ。元々遊びで行っているだけなので、留年など痛くも痒くもない。
二振りの相棒を鞘に納めて手のひらサイズに戻すと、愛佳が起きてきて目をこすりながらリビングに入ってきた。意外と長い時間、手入れに没頭していたらしい。念入りすぎただろうかと考えてすぐに否定する。やってやりすぎることはないだろうし、今日はこの相棒達に頑張ってもらわないといけない。
「ん……おはよ、早いね朱雀……」
「おはよう。愛佳、今日ウチ学校サボるから。理由付け適当にお願いね」
「はいはい……またどっか行くのねぇ……」
「夕飯までには多分戻るわ。行ってきます」
「ん……行ってらー」
もはや朱雀のサボりは日常茶飯事と化している。さっさと草薙と風月をポケットに入れて部屋を出ていってしまった。
「その『多分』ってのが、一番困るんだけどなぁ……」
朱雀が去ってから言うのは、喧嘩になると負けるからだ。
時刻は、午前六時半。



「おはよー」
「あ、おはようございます愛佳。朱雀さんは遅刻ですか?」
「サボりよサボり。すっかり癖んなっちゃって」
「え……朱雀さんお休みですか?今日は……卓球部も演劇部もある日なんですが」
「何空ちゃん、何か問題……あ」
笑華は申し訳なさそうに苦笑している。
笑華と将士は卓球部、満人は演劇部に所属している。よって、今日の放課後はその三人を除いた五人のメンバーで生徒会の仕事をやらねばならなかったのだが、朱雀までいなくなるとなると、かなり辛い。体力的にも頭脳的にも、朱雀ほど優秀な人材はそうはいない。朱雀がいるかいないかで仕事のはかどりが全然違ってくるのだ。
「あと、香織さんはバイトだそうです」
「え」
「ちっちゃい兄さんはお父さんとお母さんを見送りに行ってるのでお休みです」
「い」
二人と顧問ではできる仕事もできないだろう。最寄りの空港はかなり遠いところにあるので、圭が帰ってきてから呼んでも間に合わないだろうし、能力を使って飛んできても正直な話二人も三人も変わらない。大人数が協力して初めて進められる仕事なのだ。
ちなみに圭は卓球部と演劇部がある日だからこそ、見送りをかって出て仕事を回避したわけだが。
「つか、まだいたのあのハイテンションなラブラブ夫婦は」
「ええ、今回は数日滞在していました。竜二さんと積もる話があったみたいです」
「なるほどね……」
ピンチ到来である。頭脳系の仕事は優等生の空、力仕事は吸血鬼の愛佳が担当することになりそうだ。



「邪魔するわー」
朱雀が訪れたのは、青空の集会場である。場所はもう覚えたので、わざわざ誰かの気配を追う必要もなかった。中から出迎えたのは心葉だ。
「……君か」
「アンタに用はない」
朱雀は徹底的に心葉に冷たい。別に好きな子をいじめるような精神ではない。単に馬が合わなさそうだから近づかないだけなのだ。
「それはよかった。僕も君とはあまり関わりたくないからね」
霊能者にとって、「死者」である吸血鬼はある意味恐怖の対象だ。既に死んでいる者が実体を持ち動いている。吸血鬼という種族は根本から全てにおいて歪んでいる存在なのである。
「で、何の用かな、南朱雀」
「気安くウチの名前を呼ばないでくれる?咲野心葉」
朱雀は心葉をギロリと睨みながら言う。対する心葉は微笑を絶やさない。
「おや、よく知ってるね」
かつて虎太郎が手に入れたマイクロフィルムの中に、十一年前当時の心葉の顔写真もあったのだ。面影は確かに残っている。というか、あまり変わっていない。朱雀が判るのも当たり前だ。
「……無口で、刀使いの剣士がいるでしょ。アレ出して」
「ヤーヴォシィのことかな。少し待ってくれ」
特に何をされたわけではない。だが、どこかいけ好かない。朱雀にとって、誰にでも同じような感情のない笑顔を向ける心葉や斬馬やアルバートは、苦手な対象なのだ。真のような荒っぽい者や、ワインや刀刃や鈴のような妹系、健やヤーヴォシィや海などの無口な者が、朱雀の好むところである。というか、基本女の子なら誰とでも仲良くなる自信が朱雀にはあった。
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