続々・LIGHT JOKER

□LIGHT JOKER〜パラレルワールド〜
1ページ/7ページ

ああどうも、加持貫次です。いやはや、俺の出番は本編じゃ皆無ですな。一応、設定ではこなたの父ということになっとります。
では、六十三気絶目、どうぞ。



朝。
圭はいつも携帯の目覚ましで起きることにしているが、大抵は二度寝して修に起こしてもらっている。だから、騎士団との戦いの後しばらく、携帯がなかった時期も特に目覚ましという意味では困らなかった。
たまに携帯で完全に目が覚めてしまう時があり、そういう日は朝ご飯と弁当の当番を修と交代する。昼間には修の作ったご飯を食べるのだ。
この日、圭は珍しく携帯が鳴る前に目を覚ました。
「んん……ふあぁ〜っ」
大きくのび。
大きくあくび。
「…………?」
声がおかしい。高い。
「乾燥してやがったのか……?」
独り言を言ってみた。明らかに高い。乾燥でのどをやられた程度ではない。
布団をおしのけてむくりと起きあがる。ふと気付いた。何となく視線が低い。いつもなら起きあがって座っている状態で、机の一番上の引き出しが目の前にあるはずだが、一番上とその下の引き出しとの間くらいに視線が合っている。
「…………?」
辺りを見回す。見知った自室だ。何の変わりもない。
気のせいか、と布団を片付けるため立ち上がる。
「ああ?」
低い。明らかに低い。座っていた時は微妙だったが、立ち上がるとあからさまな変化に気付く。
というか、今更だが髪も長い。背中辺りまで伸びている。一晩でこんなに伸びるはずがない。
圭は自分をよく観察してみることにした。
腕や足は細くなっていて、肌も白めだ。触った感じ、首も細い。
そして。
「……何だ、こりゃ」
胸がある。
しかも、大きめ。
圭は恐れながら股間を触ってみた。
「…………」
ない。
「…………」
ない。
「……うわああああぁぁぁぁ!!」
思わず大声を上げてしまった。修が驚いて圭の自室の戸を開ける。
「な、何だ圭子、マイケル君でも出たのか!?」
マイケル君とは沖津と中本の間で通っている暗号だ。ゴキブリのことである。だが、今はそんなことはどうでもいい。
「お、俺、女になっちまっ……って、圭子ぉぉぉ!?」
「はぁ?何言ってんだ、お前は生まれたときから今までずっと女だろうが」
「はぁ!?そっちこそ何言ってん……」
冷静にならねばならない。読心術を使ってみても修がふざけている様子はないし、何を言っても今は意味がなさそうだ。
「いや、悪ィ、寝ぼけてたみてェだ……」
「ったく、何なんだ?しっかりしてくれよ」
修が圭……もとい、圭子の部屋から出ていった。
「……こいつぁヤベェな……」
携帯の目覚ましが、鳴った。



とりあえず寝間着のまま居間に入る。交代制度のため、修が圭子の弁当を作っていた。
「朝飯頼むぜー」
「ああ」
普段朝食を作るのと同じように調理をするが、腕力が弱くなっているのかフライパンが重い。
「…………」
空が起きた。猫のまま伸びをして人間に変身。
空だ。別に空男とかになっていることもない。
「何だ、今日は圭子も空も早起きだな」
「おはようございます……兄さん、姉さん」
「おう、おはよう」
「ああ」
作った朝食を三人で食べ、自室に戻った。
着替えようと思ってハンガーを見ると、LJ学園高等部の女生徒用制服がかけてある。
「…………これ着るのか……気乗りしねェな」
寝間着を脱ぐ。
「……。そうか、女になってんだった」
自分の身体とはいえ、目のやり場に困る。なるだけ見ないようにしながら肌着を着て制服を着る。
慣れないスカートが違和感マックス。気にしないためきっと下着は何度も見えてしまうだろう。ちなみに、下着は男物。
「つか……ブラジャーとか着け方判んねェな……まず、ねェし」
朝からいきなり女という生物に色々苦悩する。



笑華が迎えにきたらしい。呼び鈴が鳴った。
「圭子ー」
居間から修が呼んでくる。
「わーってるよ、今行く」
鞄を持って玄関に行き、靴を履いてドアを開ける。
「おはよう」
「ああ……あ?」
修も空も変わらないままだった。自分だけが性別変化に巻き込まれているのだと考えていた。
「あ……圭も……?」
「笑華……。今の俺は『圭子』らしいぜ……」
笑華も、性別が変わっていた。



登校中。二人で相談。
「……やっぱ、俺とお前だけみてェだな」
「そうだね……何でかな」
「判んねェし、今は原因とかどうでもいいよ。どうすりゃ元に戻れるかだ」
「うーん……」
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ