続々・LIGHT JOKER

□LIGHT JOKER〜あいつのための夕食を〜
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え?
あ、俺!?いやー俺か!古賀にバンドにも誘われなかった俺がタイトルコールか!
俺の名前は相田良介。もうちょっとくらい出番くれてもいいよなあ?
六十四気絶目、よーいドンっ!



圭は笑華とデートだそうだ。修は知らないが、このところ戦いばかりで二人だけの時間がとれないでいたため、この休みは久しぶりに二人で遊ぶことにしたらしい。
リビングには、テーブルを挟んで空と修が向かい合っていた。小龍はソファに座り、一人であやとりをしている。亞花里に教えてもらったそうだ。
「今日の夕食は俺達に任された」
「ええ」
「圭には、掃除洗濯炊事などなどほとんどの家事をいつもやってもらってる」
「その通りです」
「あいつのメシは、美味い」
「本当に」
「今日はあいつに、美味いメシを食ってもらいたい」
「まったくです」
「もちろん、手作りでだ」
「判ってます」
「俺もそこそこ料理はできる方だと思ってる」
「絶対的に見れば。ちっちゃい兄さんには、遠く及びません」
「……。あいつを満足させるには、あいつの好物を出すしかないんだ」
「……まあ、そうですね」
「しかしだ。俺達はあいつの好きな食いモンを知らない」
「確かに」
「自分で作ったモンに対して、『俺これ好きなんだよな』と言ったことがないんだよ」
「当然です。知らないんですか?」
「何がだ?」
「ちっちゃい兄さんは、奇数日は私、偶数日はでっかい兄さんの好きな食べ物を出してくれているんです。例外もありますが」
「…………。涙が出るよ」
「はい……」
「だがっ!だからこそ!今日はあいつに好きなモン食ってもらいたいんだ!」
「はい!」
「俺達も一緒に、美味しく食べるんだ!」
「ちっちゃい兄さんの好物が、納豆やオクラだったとしても?」
「…………食うよ。美味しく食うよ。じゃあ、あいつの好きなモンが緑黄色野菜の類だったら?」
「…………食べますよ。私は大人ですから」
「……OK。じゃ、早速調べるぞ!あいつの好きな食べ物を!」
「合点です!」
結構、いいコンビかも知れない。



「さて、とは言ったものの、家族の俺達でさえ知らん情報を誰かが持ってるものか……」
「確かに……。ですが、家族だからこそ話したくないこととかもあるじゃないですか」
「好きな食べ物、話したくないのか?」
「……」
調査開始早々、行き詰まった。完全に無計画だ。
だが、空の言うことも一理ある。圭と馴染みが深い人物に訊いて回るのはアリかも知れない。
圭と馴染み深い人物と言えば、真っ先に思い浮かぶのは空、修共に笑華だった。しかし、今笑華は圭とデート中。電話で訊いても圭が何かを察するのは判りきっている(サプライズにしたいらしい)し、久しぶりの二人の時間を邪魔するのも悪い。
次に思い浮かんだのは、将士だ。将士は圭と中学からの付き合いだし、高校が同じになってからはたまに昼休みなどに家庭科室を占領してお菓子を作っていることもあるらしい。それなら、知っていてもおかしくはない。
「電話してみるか」
「そうですね」
修が携帯を操作し、将士に電話をかける。
『もしもーし』
「よう」
『修さんじゃないっスか。どうしたんスか?』
「いや、圭の好きなモン知ってるかなぁと思ってよ」
『ガムじゃないっスか』
「いやいやそりゃ知ってるよ。メシの話だ」
『ええ?さぁ……つか、アンタで知らないのに俺が知ってるわけないっつーか……』
「いや……そうだよな。悪い」
『いやいいっスけど』
「他を当たるよ。またな」
『あ、はぁ。じゃあまた』
修は通話を切る。残念ながら判らなかった。次は誰がいいだろうか。
LJ学園の連中で考えることにした空。
こなた。知るはずない。
七星。同じく。
香織。知ってるかも知れない。
笑華。訊けない。
満人。まず知らない。
勇気。将士で知らないのだから、知っているわけがない。
朱雀。情報通なので知っていてもおかしくはない。
愛佳。彼女が知っていることは大抵朱雀からの情報だ。彼女に訊く意味は深くない。
次郎・良介。圭と面識がない。
将士。知らなかった。
麗音。ひょっとしたらひょっとする。
というわけで、あり得そうなのは香織、朱雀、麗音くらいだ。他にも科奈理、竜二、亞花里などに訊けば判る可能性がある。泉が挙がらなかったのは空が泉を知らないからである。
「……意外と……かなり難しいですね」
「まあ、まだあてになる奴はいるから。諦めるのは早いぜ」
「そうですね」
今度は空が携帯を操作。まずは三年生の麗音から連絡をとってみる。
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