続々・LIGHT JOKER

□LIGHT JOKER〜刀子の恋愛奮闘記〜
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あ、どうもこんにちは、戸叶鈴です。
え、近況報告?今は……お兄ちゃんと一緒に「導」について調べながら、「輪」の仕事をこなしています。危険な仕事が多いですが、私達にはそれに縋るしかありませんからね……。
では、七十四気絶目、どうぞ!



「グルァーっ!!出てきやがれKAZAAAAAAAAAAAAN!!」
華斬がサークと青空の集会場でのんびり間食をしているところに、真が叫びながら仮眠室からやってきた。
日本の青空の集会場は本拠地ということもあり、アルバートを除く「輪」のメンバーはこの場所にいることが最も多い。アルバートに関してはとにかく世界中を飛び回っていて、北アメリカ支部で休憩することが多くなる。
マンションやアパートを借りている者もいるが、命令が来たとき瞬時に行動に移れる青空の集会場はもはやメンバーの家に近い。
「あァん……?うっせーな何なんだいきなりよ……」
「てンめェ俺が冷蔵庫に入れといたプリン勝手に食いやがっただろ……!!」
「あァあれな。賞味期限が切れてたから、お前だったら捨てると思って食ったんだよ。捨てられるよりゃ食われる方がプリンも本望だろォからなァ」
「食おうと思ってるからとってあったんだろうがゴラ!!てめェ許さん、勝負しやがれこの野郎、ボケ!!」
「あんだァ喧嘩か?うっはっはっは、買ってやるぜェ!」
華斬が獰猛な笑みを浮かべながら立ち上がる。
「餓目鬼、残ってるお菓子全部貰うよ」
「おー食え食え、プリンは一個残せよ」
「はいはい」
二人の喧嘩など意に介さず、サークはテーブルに広がっている甘味を食べ続ける。



「……おい。何だこりゃ」
華斬がボールを持ち、真がバットを持っている。
「お前の勝ちならプリンのことは許してやる。俺が勝ったらお前がさっきサークに取っといてもらってたプリンを寄越せ!」
「……あー。判ったよ」
もはや華斬にやる気はない。普通に殴り合いの喧嘩ができると思っていたので拍子抜けなのだ。
だが、やる気はなくとも負けるわけにはいかない。プリンを奪われてはたまらないのだ。
「よっしゃ。一打席で勝負だな」
「おォうさっさと投げろ!」
ちなみに、場所はLJ公園の球技スペースだ。野球をやっていた若者達を一時的に追い出して占領したのだ。勝負が終われば返すらしい。
「ウルァ!!」
華斬が小さいモーションでボールを投げる。かなり速い。百四十キロはゆうに越えているだろう。
「うへぁはははは、ど真ん中だぜェ!」
真の場合、能力発動中の戦闘は何も見えていないので、野球の球くらい目をつぶっていても打てる。華斬が変化球を投げるとも思えないし、ただの速球だろう。
「死ンねェェェエエエエ!!」
真が全力でバットを振る。能力などなくとも相当な力のある真なら、完全にホームランだろうと思われた。
が、バットがボールに触れた瞬間、ガインと音を立ててバットが止まった。
(重っ……!?)
かなりのスピードでバットを振っていたので、これを止められると滅茶苦茶痛い。手首がいかれてもおかしくない。
「ぐおぉぉぉ、何だアアア!?」
なおも力を込めながら真が華斬を見ると、ポケットに手を入れている。能力による風圧で、ボールを押さえているのだ。
「ンなアアァァァ!?」
「がははは、能力使用禁止っつールールはねェだろが!!」
「てンめェェェエエ!!」
全身に血管が浮き出て、砕けんばかりに歯を食いしばる真。目も飛び出しそうだ。必死すぎである。
最後の手段として、真は遂に能力を発動した。
「ダァァァアアアアルァァァァァアアアア!!」
風を押し退け、ボールを飛ばす。危険なのですぐに能力は解除する。
「っしゃああぁぁぁ!!」
「オイ、ありゃお前勝ちなのかよ。ただのフェアっぽいぜ」
真の力で飛ばされたとはいえ、華斬の風で大分勢いは殺されている。ギリギリセンターフライといった感じだ。
「……。守備がいなけりゃホームラン確実っ!!」
真はバットを放り捨て全速力でダイヤモンドを回りだした。
「何ィ外道かてめェは!!」
「てめェが人のこと言えんのかゴルァ!!」
(ちっ……なら風でキャッチすりゃ……)
「させるかァ!!」
真はまた能力を発動。高速で華斬に近づきポケットを破り去る。ポケットに手を突っ込めないと能力を使えないので、華斬は風を起こせない。
「ンだとォ!?」
「うははははは!!」
「あ」
華斬がボールの着地点を目で追うと、偶然にも刀子がいた。確実に当たる。しかも携帯をいじっていてボールには全く気付いていない。
「げぇ!!」
能力を解除して視力の回復した真も気付いたらしい。が、この距離ではもう間に合わない。
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