続・LIGHT JOKER

□LIGHT JOKER〜騎士団の仕事〜
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はあ…………。
加持、かなたです……。
折角霊能者の方や「渡し屋」の方もおられるのに、何で私は出してもらえないのかしら……。
え?え?私がタイトルコール?
あ、さっ、三十気絶……三十一?三十一気ぜぅっ。三十一気絶目、始ま



「ただいまです……」
「お帰り、空。飯は……」
「すみません、結構です。おやすみなさい」
「あ、ああ……」
修は最近大学をよく休み、圭捜しに精を出している。空は空で、校内の生徒や教員に読心術を使って目撃情報を集めているが、目撃者は案の定皆無。空と修は心身共に疲れきっていた。
「ったく、圭の奴どこほっつき歩いてんだ……。料理のコーチもしてもらえねェじゃねェか」



「詳しく話してくれる?」
「何だ何だ、手出す気かまっちん。そんなモンに首突っ込めばちっちぇー兄貴は勿論、てめーが一番知られたくないエミチーにまでてめーの正体バレちまうぞ」
愛佳は、ビルの屋上で夕と話をしていた。まじめな話をしているときは、夕もちゃんとした言葉を発するようだ。
「構わない。私が守るのはこの街と私の大切な人達なんだから。そのためには私が吸血鬼だってバラすことも厭わないわよ」
「むむむむ。素晴らしい心構えだなまっちん。ワタクシ、殺意(かんどう)の涙で……」
「おふざけはいいから。今そんなこと言ってる余裕あるの?」
「ない」
夕は即答した。珍しく短い返事だ。
「なら、教えて。私にできることがあるかも知れない」
「よっしゃっしゃ。ワシは空っち視点からしか状況が掴めてにゃいが、それでよければ話してやりけり。あ、過去形じゃおかしいか。
まず、てめーがエミチーに最後に会った日。同じ日に何者かがちっちぇー兄貴に接触した。その日ちっちぇー兄貴が帰ってから、ずっと様子が変だった。
次の日、エミチーと一緒にちっちぇー兄貴の異常の真相を探ろうと教室に、三年A組に足を運んだ。にゃが、途中で『血に浸る騎士団』とやらの、みにゃみ……南朱雀っつー得体の知れないバケモンに邪魔された。朱雀っちが解放してくれた直後、エミチーがちっちぇー兄貴にフられたんだ」
「…………。うん。それで?」
「初めに言った、ちっちぇー兄貴に接触した何者かは朱雀っちと見て間違いにゃいだろうと思う。学校で会った時に『しるし』がどうとか言ってたから、それ以前に接触してたワケだにゃ」
息継ぎ。
「で、エミチーがフられた夜に、タカぽんを通しててめーとエミチーが通信したワケにゃ。あの時の会話は空っちも聞いてたからにゃ、オレ様の頭にも入ってる。ありゃー言い過ぎだったんじゃにゃいかにゃ?」
「反省してるわ、傷つけたってね。でもまぁ、今は置いときましょう。続きは?」
「てめーはその日から学校にいにゃかった。ちっちぇー兄貴は次の日から姿を消した。学校は勿論、家にも帰って来にゃい。朱雀っちか、『血に浸る騎士団』のとこにいる可能性大だにゃ。空っちもでっけー兄貴も必死に捜してるが、手がかりのテの字も掴めにゃい。空っちとでっけー兄貴は身も心ももうボロボロにゃ。今に倒れる。現に空っちの睡眠時間は以前にも増して多いにゃ」
「で、今に至るわけか」
愛佳は「血に浸る騎士団」に心当たりがあった。自分を吸血鬼に変えた吸血鬼、西虎太郎と繋がりがあるかも知れない。むしろ、あると考えるのが自然だろう。元「結」のメンバー二人が一度に吸血鬼と接触したのだ。その吸血鬼二人が同じ組織に属していると考えて間違いない、と思う。
実際は、愛佳の方はまったくの偶然だったのだが、それを愛佳が知る由もない。
『我の知る情報も大体同じような感じだ』
「おぉぅ、『闇』……びっくりするじゃんか。いきなり現れたりしないでよ」
『先刻から居たが』
「一声かけなさいよ」
『……すまない』
「タカぽん。まだちっちぇー兄貴は見つからないかにゃ?」
『…………』
「そうかにゃ……」
「心配?」
「にゃ」

「そりゃ肯定なわけね?」
「にゃ」



「圭、買い物に行きたい」
「そうかい」
「付き合って」
「一人で行け」
口ではそう言うものの、圭は読んでいた本を置いて立ち上がる。
「どうなってんだ……」
「貴方はウチの物だから」
(大体、街に出んなって散々言ってたくせにいきなり買いもんに付き合えってどういうこった)
「行きましょう?」
朱雀が「血に浸る騎士団」のアジトから出ていく。頭の中ではついていきたくないという気持ちが強いが、体が勝手についていってしまう。
「何でなんだ……」
街に出てしばらく歩く。朱雀は何か探しているのか、しきりにキョロキョロしている。
圭はLJ学園高等部の制服なので、時間的に補導をくらう可能性があるために警官を警戒していたが、近くにはいないらしい。
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