続・LIGHT JOKER

□LIGHT JOKER〜新しい家族〜
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うーん……。
こんなところで出してもらってもあんまり嬉しくないね。僕は「輪」のサーク・ジヴァルタ・ツェント。「道」との戦争じゃほとんど出番なかったしね……タック兄もだけど。
三十四気絶目、始まるよ。
気絶って数え方、どうなんだろう……。



小龍が沖津家に住み始めてから五日。差出人不明で沖津家に宅配便が届いた。
間違いなく貫太郎と千草だろう。普段月初めに送ってくる仕送りも差出人は不明になっている。
「修。空」
「おう」
「はい」
「役に立つものか立たないものか。いくぞ、役に……」
「「「立たない」」」
「だよなー……中身見なきゃ判んねーが……」
ぺたぺたという足音をならして小龍が圭に近づき、服の裾をきゅっと掴む。
「あ?どしたシャオ」
小龍は静かに首を振った。
「役に立つモンだってか?」
今度は縦に振る。
「まぁいい……とりあえず開けてみよう」



「意外だな」
「ああ。明日は台風決定だ」
段ボールの中は子供用の服がぎっしり詰まっていた。ほとんどが小龍用らしいが、たまに女の子用の物も混じっている。空を意識しているのだろうか。
「私にも服が?」
「ああ。いくつかあるみたいだな」
空は段ボールの中身を探る。
「これは……?」
奥で掴んだ何やら小さな布切れを引っ張り出す。
ブリーフだった。
顔を赤く染める空。可愛いものである。
「ひゃあっ!!」
「ぶっ」
投げたブリーフは圭の顔に命中。圭はブリーフを手に持って苦笑した。
「トランクスもブリーフもボクサーパンツもあるとはな……空用の下着もあるみたいだ」
修が何やら魔法少女っぽい女の子が描かれた女の子用のパンツをひょいっとつまみ上げた。
「あわわわわっ、でっ、でっかい兄さんっ!!」
「ん?何取り乱してんだよ」
「取り乱してなんか……!」
実は空はその魔法少女のアニメが大好きなのである。貫太郎と千草に何故バレたのか。
貫太郎と千草は空の好みなど知らずに単なる遊びでその下着を入れてみただけなのだが、それを空が知る術はない。
ともかく、そんな子供っぽいものが好きだなんて自称「大人」の空は言えない。修は、ネタで入れられたんだろうなと正しい予想をしていたが、取り乱した空に読心術を使っている余裕はない。
一方で、圭。
「ほほーぅ……」
空はそんなのが好きなのか、とほくそ笑む。それを見た空は、
「ち、ちっちゃい兄さぁん!!」
と泣きそうになりながら圭をポカポカ叩いてきた。
「はは、言わねェ言わねェ」
「うう〜……!」
リビングで荷物の中身を広げていると、玄関のドアが勢いよく開いた音がした。
「邪魔するわー」
修は圭を見て問う。
「誰だ」
「……あー、多分シャオの、アレだ」
「アレ?」
「姉貴……だよ」
空が玄関に出迎えに行って、リビングに招き入れる。
「よっす。小龍元気?」
「ああ。何しにきた?」
「ご挨拶ね。様子見に来るくらいいいじゃない」
来たのは、南朱雀。日曜日だというのにLJ学園高等部の制服を着ている。
「何で制服なんだよ」
「ウチ、これしか持ってないから。前のはあんたらにボロボロにされたし」
「ばっ……!何言って……!」
「?事実じゃない」
修が敏感に反応する。
「圭……その可愛いお嬢さんの服をビリビリにしてあんなことやこんなことしたって……?」
「でっかい兄さん、そこまで言ってません」
「体操服もあるけどさ、さすがにアレで歩き回るのはね……」
「確かに」
小龍はずっと黙っていたが、朱雀を見て口を開く。
「す、ざく」
「ん?どうしたの?」
「すざ、く、す……ざく」
「……ねぇ、小龍にちゃんと言葉とか教えてる?」
「判らないんです。こちらの言うことは理解できるようですが、小龍君からは何も話してくれません……」
「でもよ、いつの間にか『ピーナッツ』と『柿の種』と『落花生』は言えるようになってたんだ」
「何それ、何で?」
その時、リビングの扉がドカンと開いた。
「オレが教えたのよーっ!!」
「亞花里!?」
亞花里を視認すると、小龍は小走りで亞花里に寄って引っ付く。
「おー小龍、よしよし♪」
「何でそんな懐いてんだ」
「皆学校行っててオレのバイトがない時、ずっと一緒に遊んでたからね」
「あ、か……り」
「笑華がかなバアの手伝いに行って、香織がバイトだからオレ暇なの。今日まるまるフリー。だから遊ぼう!大貧民とかやろう!」
「別にいいが……」
「あ、かり」
「んん〜可愛いわね小龍!」
亞花里は小龍に頬ずりする。
「でもゴメンね、オレには修っていう旦那さんがいるから」
「いつ俺がお前の旦那になった!?」
「ほら小龍、朱雀、見て。このカードの3が一番弱くて順番に強くなって、2が一番強いの」
「ふぅん。何でそんな半端なのよ」
「もう大富豪……大貧民?のルールを説明してますね」
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