続・LIGHT JOKER

□LIGHT JOKER〜踏み出す一歩〜
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私は、「輪」のラングサン=ネメシス。どうやら前回のパエリアのおかげで私に役が回ってきたようだが、別に私はそんなことは望んでいないしやる気もない。しかし、やれと言われればそれはやらざるを得ないと言えるだろう。何故ならば、私は作者の意向に逆らえないからな。あまり長話をするとそれこそ作者にどやされてしまうからこの辺でやめようか。本当はもっと話したいところだが。
三十六気絶目、さぁいざ読むがいい。



斬合麗音は決意を固めた。
二週間ほど行方不明になって帰ってきた圭は携帯を持っていなかった。壊れたのだそうだ。この間の体育祭の時にもまだ持っていないようだったし、買いなおしていないのだろう。ちょうど自分も機種変更しようと思っていたところでもある。
一限目終了後の休み時間。麗音は圭に話しかけた。
「圭君」
「んぁ……?」
圭は授業をすべて寝て過ごす。もう教員も諦めている様子だ。
圭はむくりと起き上がって麗音を視認すると、ごそごそと鞄から弁当箱を取り出す。
「あ、あの、まだ昼休みじゃないよ」
「んぁ、そうなのか……?じゃ何で起こすんだよ……」
圭の寝起きが悪いのは将士から聞いて知っているし、自分でも確認したことがある。少したじろぐが、そんなことで麗音は諦めない。
「けっ、携帯……壊れちゃったんだよね」
「あぁ」
「あの、一緒に買いに行かない?私も、機種変したいと思ってたんだ」
誘えた。麗音の鼓動は今まさに早鐘。
「……くぁ〜……」
圭、大あくび。
「ああ、いいよ」
「ほんと!?」
「うん、そろそろ買わないとイカンと思ってたんだが、俺最近の機種とか判んねェしさ。お前が選んでくれんなら安心だ」
麗音は自分が圭の携帯を選ぶつもりはなかったのだが、これは思わぬチャンスだ。お揃いのものにしようと麗音は考えた。
「じゃ、じゃあ、今度の日曜日、行ける?」
そこで圭は申し訳なさそうに苦笑した。
「ん、悪りィ、その日は先約があるんだ。大事な、先約が……」
「そう……」
「その次の日曜なら空いてるぜ」
「あ、うん、じゃあその日にしよう」
「おう」



日曜日。もう十月も下旬にさしかかり、少し肌寒く感じるようになってきた。
「では、行きましょう」
この日は中本冬夏と中本竜二の命日。沖津と中本は揃って墓参りに出かけるのだ。
「んん〜っ、晴れてよかったね」
「そうですね」
「でももうだいぶ涼しくなってきたよね。寒いくらい」
「もうすぐ十一月だしな。霜月だぜ?霜がおりるんだぜ?」
「今、あのお寺紅葉は見られるのかしら……」
「何かとあって私、娘夫婦のお墓には行ったことないから今日はきちんと挨拶しとかないと」
「お婆ちゃん行ったことないの!?」
「……………………」
各々が喋りながら歩く。電車を使うべき距離なのだが、歩きで行けないこともないので、できるところで節約はしておくのだ。



冬夏と竜二の墓前。白い花を持って立つ人影が二つ。
「中本竜二……貴様は今どこで何をしてるんだ……?」
「言っても仕方ないさ。世界は動いてる。きっと僕らの前に姿を現すときが来るよ」
クサンチッペと咲野心葉。彼らもまた、墓参りに来ているのだ。
「……む?」
クサンチッペが自分たちの方に向かってくる複数の人間に気付いた。
「あら、クサンチッペさんに……心葉君?なぜここに……」
「シャロンじゃないか。中本笑華に……その他も」
「オイその他って何だよ」
「僕らも墓参りに来てるのさ。冬夏さんや竜二さんには世話になったしね」
「世話に……?」
「おっと、失言だった。気にしないでくれ」
冬夏と竜二は「道」専属の研究員だった。研究員は他に多数いたが、全員十年以上前に「血に浸る騎士団」に一掃されている。
ただ一人、中本竜二を除いて。
「……?」
科奈理が異変に気付いた。
「十一代目、心葉君、ちょっと」
クサンチッペと心葉を呼んで離れて話す。クサンチッペも心葉も科奈理も、読心術の対策法を知っているので圭や空にバレることはない。夕が相手だと意味がないが。夕の読心術は完成しきっているので対策が効かないのだ。
「竜二さん、生きてるわね」
「気付きましたか……まぁ師匠が判らないわけないとは思いましたが」
「いや、僕はむしろ先生がそのことを知らなかったことの方が驚きですよ」
「いろいろあって墓参りには来てなかったのよ。お通夜とか葬式とかも何が理由なのか、行われなかったし」
「師匠……貴女の念符で中本竜二を捜せませんか?」
「しんどいわね。竜二さんの『念』は捜しにくいタイプだし、捜す範囲が広すぎる。念捜符の式神でもすぐに『念』が切れてただの紙切れになるわ」
「先生は式神を使うのは不得手ですしね。範囲の限界は東アジアくらいですか」
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