裏・俺の戯言

□裏LIGHT JOKER〜いきすぎた兄妹愛〜
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(……塵未満はともかく、ウチの貞操はどうにかして守り通さないと……よりによって火鳥が相手なんて絶対ヤだ!)
頭ではそう考えているはずだが、その他の部分が全く言うことを聞かない。
マズい。
マズい。
大事なことだから二回言いましたよ。
「朱雀……」
「……何よ」
「今まで『しるし』を誰かにつけたことはあるかい……?」
「まあね。騎士団の仕事でそれなりに使ってた」
「すぐに殺すのに?」
「いろいろとあんのよ。情報聞き出したり、殺さずに無害化する仕事だったり」
「……彼らはみんな、今のボクと同じ状況だったわけだ」
「そうね」
「朱雀」
火鳥は朱雀の名を強く呼んだ。
「…………」
いつものように飛びかかってくるのではなく、じりじりと朱雀に寄ってきた。
そして、朱雀が着ている制服のボタンを外す。
「……やめてよ」
「『しるし』というのは恐ろしいね……自分の能力がこんなに厄介なものだとは思っていなかったよ」
「……同感……」
朱雀は抵抗もせず(できず)に火鳥に身を任せる。そしてカッターシャツのボタンを全て外しおわり、火鳥が朱雀のスカートに手をかけた瞬間。
「ただいまー」
愛佳が帰ってきた。
愛佳はリビングで繰り広げられている光景を見て数秒固まった。
「お邪魔しましたー」
「コラァ!!待たんか!!助けてよ!」
体勢や雰囲気から見て、愛佳は明らかに同意の上での行為だと思っていたが、どうやら違うようだ。
朱雀は愛佳を使って「しるし」の解除を試みる。火鳥を蹴飛ばしたり念力で飛ばすのは「火鳥を傷つけたくない」ので無理だ。仕方なく愛佳を念力で持ってくる。
「わ」
「おっ」
「しるし」の効果か、火鳥と愛佳がキスするところをあまり見たくはなかったが、そんなことを言っていられる状況ではない。
「んむぅっ!?」
成功だ。これで火鳥についた朱雀の「しるし」は消えた。次は朱雀に着いた火鳥の「しるし」を取り除かなければならない。
「ちょっと失礼っ愛佳!」
「んんんー!?」
無理矢理首をこっちに向けてキスをした。頭の中が一気に冷めていく。相当興奮していたらしい。
(この程度で興奮するなんて情けない……)
何はともあれ、「しるし」は消えた。これで朱雀の貞操は無事守れたわけである。
貞操っつか、処女?
「貞操ってのは、性的な純潔を保つことよ。処女を守ることについては触れられない言葉ね。ウチが処女かどうかは……読者の皆さんの想像にお任せするわ」
「誰と話してるんだいっ朱雀?」
まあそんなわけで、元に戻った火鳥はいつも通りの軽いノリで朱雀に愛の言葉を述べ始める。
そんな中。
「す……朱雀……」
「ん?どうしたの愛佳」
「す、好き……」
「……あ」
愛佳に朱雀の「しるし」がついている。火鳥の「しるし」は愛佳が朱雀とキスしたときに消えたらしいが。
「朱雀ーっ!」
「どゎーっ!アンタは笑華にでもキスしてもらってきなさいよー!」
「朱雀ーっ!」
「てめェ!どさくさに紛れて何してんのよクソ兄貴!」
「朱雀ーっ!」
「はあぁ!?何で塵未満がこの部屋にいんのよーっ!?」
果たして朱雀は自らの貞操を自分の実の兄である大吸血鬼や多少裏で名の知れた同居人や全てを掌握する作者から守れるのだろうか。
まあ、ボクは自分の子供みたいに可愛いLJのキャラ達を安易に汚したりしないけどね。よく死ぬけど。でも結構生き返ってるしさ。
「ちっ!!」
朱雀は窓を開けてそこから逃げ出した。追ってくるのは予想できたが、中本の家に行けば笑華がいる。要するにおびき寄せる作戦だ。
「朱雀ーっ!」
「朱雀ーっ!」
愛佳は必死で、火鳥は楽しそうに窓から出ていった。
「え、こんな下衆い奴に留守番任せてイインデスカ?」
作者だけ取り残される。
「あーあ、愛佳とか朱雀の下着でも物色しようかな」



「今日の晩飯はー?」
「今日は、」
「笑華っ!!いる!?」
「いらっしゃーい朱雀」
「どうも、今日はオムライスですよ。朱雀さんも食べ」
「愛佳とキスして!!」
「はい……ええ!?」
「あー、『しるし』かー」
「朱雀ーっ!」
「朱雀ーっ!」
「何なんか騒がしいねー」
「らぁ」
「何?パーティでもやるの?」
「すざ……」
「だぁっ来んなボケ!」
ま、そんなこんなで笑華と亞花里と香織と科奈理とらぁくんと朱雀と火鳥と愛佳で、狭い家でどたばたしましたとさ。愛佳についた「しるし」がとれたのかどうかは、
「読者の皆さんの想像にお任せするわ」
だそうですよ。




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