裏・俺の戯言

□裏LIGHT JOKER〜LIGHT JOKER FIGHT〜
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勇気が山札から一枚引く。
「!」
いいカードだ。
というか空には読心術という反則武器があるから勝てるだろうが。
「そんな無粋なことしません」
すんません。
で、勇気が動く。
「イベント、『水族館破壊』発動!」
勇気は山札を二十三枚破棄する。
「黒七星が自分の場にいる時、相手キャラを全て破棄!」
「ふ。七枚破棄、『ツッコミ』です。相手のイベントカードを一枚無効化します」
相手ターン中でも、一度だけイベントカードを使うことができる。ただし、相手がイベントカードを使った時のみだが。
「甘いんじゃない?」
「!!」
勇気が手札から出したのは「ツッコミ」。山札を七枚破棄し、空のイベントを打ち消した。生き残った「水族館破壊」の効果で、空の場はがら空きになる。
「一斉攻撃!」
黒七星 攻撃力九
クロスフォード 攻撃力六
空 残りLP15
「最後に一枚破棄、『園崎 まゆげ』を召喚。いいよ」
形勢逆転といったところか。今からまた速攻をかけるには空の四十一枚という山札は少々少ない。
「……」
空、一枚ドロー。
(このままキャラを出さなければ次のターンで負け……)
大ピンチの空。
だが、残り四十枚となった山札。強いカードならば二十枚以上を破棄するカードもざらにある。為すすべがない。
(こうなったら……)
博打のカードはある。だが、頭脳派の空としてはそれで勝つのは少し複雑だ。
「……よし」
空が意を決した。
「山札を三十二枚破棄」
「!?」
「イベント、『入れ替わりの護衛術』!」
「水族館破壊」と並んで、切り札となりうるカードである。条件を満たせば相手と自分の山札を入れ替えることができる。
その条件とは、コイントスで五回連続当てること。
「つ、『ツッコ』───」
「『ツッコミ』」
「……!!」
これで空の山札は残り一枚。入れ替えに成功すれば次のターンの勇気のドローで山札はゼロになり、勝負が決まる。
空が十円玉を勇気に渡す。
「表」
一投目。
表だ。
「表」
二投目。
見事に表である。
「裏」
三投目。
まごうことなき裏。
「表」
四投目。
どう見ても表だ。
「………………」
「……」
「…………裏」
そして、運命の五投目。



第一回戦第一試合
沖津空 ○
師堂勇気 ×



むむむ。これでは裏にしてかなり長い話になってしまう。ハショろう。



第一回戦第二試合
中本笑華 ○
相田良介 ×



第一回戦第三試合
南朱雀 ○
間桐愛佳 ×



第一回戦第四試合
太田次郎 ○
古賀満人 ×



勝ち残ったのは空、笑華、朱雀、次郎の四人。空と朱雀は速攻派、笑華は多数の低コストイベントをちまちま使うトリッキーなタイプで、次郎は普通。とにかく普通。だって、次郎だもん。



準決勝第一試合
沖津空VS中本笑華
「ふふふ……こんなところで貴女をメタメタに打ちのめせるとは。願ってもない好機です」
「博打カードで辛うじて勝った貴女に、堅実な戦法をまともに相手できるんでしょうかね?」
「ふふふ……」
「ふふふふ……」
二人とも顔が怖い。目が笑っていない。
いざ、勝負開始。
先攻は空。
「『クサンチッペ』を召喚です。さらに、アイテム『同人誌』を装備」
クサンチッペの攻撃力・防御力共に倍加させる強力なクサンチッペ専用アイテム「同人誌」。固有アイテムのため、山札が極めて多いこのゲームではかなり低コストに設定されている。
「イベント『ハァハァ』を発動。属性に『オタク』を含むキャラは登場ターンに攻撃可能です」
クサンチッペ 攻撃力三
アイテムの効果により攻撃力は倍の六だ。
「攻撃」
「イベント『風邪』を発動します」
一部のイベントカードはゲーム中どのタイミングでも発動できるものがある。「風邪」はその中でも代表的なカードだ。
「この効果で貴女のクサンチッペさんは攻撃はおろか、防御や特殊能力の発動すら次の貴女のターンまでできません」
「…………。いいでしょう。どうぞ」
「では、一枚ドローします」
笑華は新たに引いた手札を見てじっくりと考える。役に立たないカードはないはずなので、全てを最大限有効活用できるように作戦を練っているのだ。
「早くしたらどうです?」
「黙ってて下さい」
「……ごー、よーん、さーん、にぶっ……!!」
プレッシャーを与えるために空がカウントダウンを始めると、笑華が「闇」で空の口をふさいだ。
「OKです。ではまず、『沖津 空』を召喚」
「……ぶはっ、はぁ、はぁ……」
「イベント『透明念飛符大量貼付』を発動です」
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