続・LIGHT JOKER

□LIGHT JOKER〜大切な人〜B
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玄地の周辺の空気が通常に戻った。
「よし……あんた吸血鬼だし、ちょっと手荒でもいいわよね」
言って、亞花里は玄地の左腕と両足の骨を折った。
「ぐぁぁあ〜……メリッサ痛てぇ……」
「メリッサは副詞じゃないって」
玄地はもう動けないだろう。
「あんた、妙な力使って邪魔したらすぐにでも燃やすからね」
亞花里はポケットから念炎符を取り出して言った。科奈理からスっておいたのだ。亞花里は「念」の使い方を知らないのでこれはただのブラフなのだが。



「千草さんいくつ?」
「12423個」
「千草さん速すぎだよー!私9652個だったー!」
「……もう食っていいか?」
「あ、うんいいよ。柿の種も食べてね」
「ああ」



龍は聖書の効果で体が痺れて動けず、玄地は両手両足が使いものにならない上亞花里の脅しがかかっているので動けない。今「血に浸る騎士団」で戦えるのは朱雀だけだ。
その朱雀は、狂ったように(実際狂っている)貫太郎と夕に襲いかかる。
「うわぁぁぁあああ!!」
「にゃーっ!コエー!」
「よそ見厳禁☆横薙ぎチョップ!」
「ぐにゃっ!こんな時ににゃにするにゃクソ親父!」
「むはははは、油断大敵だ夕!」
朱雀に襲われながらも貫太郎には夕を攻撃する余裕があるらしい。
「はぁっ!!」
「にゃぁっ!」
朱雀が夕の頭を掴んだ。メキメキと音を立てて頭蓋骨が軋む。
「にゃにゃ〜っ……!」
「チャァ〜ンス!貫太郎☆ドロップキ〜ック!」
こんな時でも貫太郎は夕を狙う。
そして貫太郎☆ドロップキックが夕に当たる寸前。
夕が消えた。
貫太郎☆ドロップキックはそのまま向こうにいた朱雀に命中。
「がぁっ!げほっ、あんた……」
「う、うゎゎゎ〜、ゴメンチャイ♪」
「殺す!!」
「ノォ〜ン!!逃げるが勝ち!!」
襲ってくる朱雀の攻撃をでかい図体でことごとく避ける貫太郎。
一方、龍を押さえている圭。
「はぁ……くそ、血を流しすぎた……」
意識をなくしかけている。戦況も目に入っていないが、亞花里が勝ったことは判った。
「亞……花里……」
「何?大丈夫、圭?」
亞花里が駆け寄ってくる。
「俺ァ少し寝る……この紙、こいつに押し当てといてくれ……」
「判った」
そして、その横で黒猫がむくりと起きあがる。
黒猫は、空に変身した。龍が表情に出さずに驚く。
「ま、さか……何故……俺の、手刀は……確実に当たった……はず……」
「とっさにポイントをずらしました……ほとんどずれなかったから長いこと気を失っていましたが」
「ち……貴様の、分身の方が……単、純で、殺しやすそう……だったのだが……」
「……分身?」
空は夕の存在を知らない。だが、「血に浸る騎士団」は知っていたようだ。
「ちっちゃい兄さん……笑華さん……餓目鬼さんや科奈理さんまで。このメンバーでここまでやられるなんて……亞花里さん、愛佳さんは?」
「へ?ああ、気付かなかったけどいつの間にかいないわね。霊能オタクでも呼びに行ったんじゃない?」
「奴は……死んだ……」
「あっそ。別にオレらがあんたの言うこと信じなきゃなんない理由もないと思うけど?」
「……ふん……」
「亞花里さん……彼には嘘をつく理由がありません。おそらく本当です」
「……笑華……死んじゃうのかなぁ……」
「貴明さんにかけましょう。私はお父さんの加勢を」
空は朱雀を見て、上手く力をそらすようにアスファルトを操作する。
「何、邪魔を……!!」
朱雀が空を睨む。
「っ!?」
空のスカートに火がついた。空は慌ててアスファルトを使って火を消す。
「発火の能力が!?」
亞花里は龍を盾にできるが、空は無防備だ。身軽によけながら玄地の側による。
盾にしようとしたのだが、どうやら朱雀の発火能力はまだ未熟らしく狙いがずれて玄地に当たった。
「ぐああぁぁぁぁあああ!!」
「あっ!!」
激しく燃える玄地。空はアスファルトを操作して玄地を囲う。火を消すためだ。ほどなく悲鳴は途絶える。
「間に合っ……た……?」
一部分だけ穴を開けてみる。
すると、中から爆発を起こした。
「うっ……!バックドラフト……!」
酸素が少ない場所で不完全燃焼が起き、空が開けた穴から酸素が一気に入り込んで爆発的な燃焼を起こしたのだ。玄地は灰と化し空気中を舞った。
「ち……朱雀め……発、現した……ばかりの力、を……無闇に使、うから……だ……」
虎太郎が死んだとき、朱雀の目に宿った光は誰にも見られていないかに思われたが、龍は見ていたらしい。
「死ねぇーっ!!」
「うわぁちちちゃちゃちゃちち!火とか反則だろう!」
貫太郎に狙いが戻った。爆発で空が死んだと思っているようだ。空は地形変化でアスファルトを盾に生き延びていたが。
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