長編1
□5th
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言われた通りに誠の部屋まで行くと、トントンっと
一応入る前にノックする。
いくら姉弟やからってそういうのは必要やと思うし。
「まことー?おるん?」
ドアの前で声をかけると、中から「おるでー」と、間延びした返事が返ってきた。
それを聞いて、ガチャっとドアを開けて中を覗くと
テレビに向かってコントローラーを持ち、真剣な様子のこの部屋の主。私の弟くん。
ふたつ年下でしっかり者(らしいけど、私からしたらちゃっかり者)な"まこっちゃん"こと、誠。
「肉じゃができたってよ?」
「よっしゃ!ほんまに肉じゃがなんや♪」
今日の献立を聞いてか、やっていたゲームがちょうどうまくいったからかは定かじゃないけど
ほんまに嬉しそうに言うから私も嬉しくなる。
「うん、はよ食べ行こー♪」
「珍しいなぁ。今日ずっと家にいたん?」
「おん。これやりたかってん」
ゲームを終えるのを待ちながら世間話。
「姉ちゃんは?またはるくんち?」
「うん。あ、春人もなんか新しいの買ったって言うてたよ?」
「ほんま?後で貸してもらおー♪」
今日春人の部屋にあった目新しいゲームソフトを思い出して言うと、いつもさっきみたいな流れになる。
私とおる時は春人がゲームしてる姿はあんまり見いひんけど、
この2人、私が知らへんとこでも仲いいみたいで
会う度にゲームの話してるのを見かける。
春人は誠にとっても幼なじみやから当たり前やのに、話についていけないのが嫌で、ちょっと悔しいって思ってたら顔に出てたみたいで。
「何なんその顔。笑」
「…なんでもない」
「ふはっ(笑)別にはるくんまで盗らへんって」
入り口近くにいる私の方に近づいてきた誠は、
そんなに膨れたらブスになんで。って言いながら部屋を出てった。
…なんか誠、春人に似てきた。
昔は冴ちゃん冴ちゃんってべったりでもっと可愛かったのになぁ…
ていうか、意地悪になったー!
でももてるからわからへんねんなぁ。
なんで女の子はああいうんが好きなんやろ。
普段は休みの日は(男女問わず)誰かしらに呼び出されてて家にいるとかないもんな。
でも夜はちゃんと帰ってきて、ごはんも結構いっしょに食べてるし、…お母さんのごはん大好きやし、
…なんだかんだカワイイねん♪笑
そういうとこは弟っぽいねんけど。