長編1
□5th
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目にかかってる前髪を摘みながらそう言った春人を見てると、不意に目が合って
なんだろうと思ってると、ずっと伸ばしてる私の髪に触れて
「冴は髪切んなや」
「え?ちょこちょこ切ってんで?」
そう、伸ばしてるって行っても1〜2ヶ月に一回は美容室行ってるもん。
「いや、ちゃうくて」
「?」
「バッサリ切んなやってこと」
「(切らへんけど)…なんで?」
「長い方が好きやのー」
「わかった…」
自分で言ったくせに、照れくさそうに顔を反らすから私まで恥ずかしくなって
でも、私も長い方が好きやから。
春人の手が髪を撫でるのが好き。
からかいながらも笑ってたり
柔らかく触れるのが好きやから。
―――――…
あの後まだ少し恥ずかしかったけど、部屋の中に戻って過ごしてたら普通になれてた。
そしたらもうすっかり日が暮れて、夜ごはんだっていうお母さんからのメールで一旦自分の家に帰った。
「今日の夜ごはん何なーん?」
「あ、おかえり」
「ただいま♪」
「今日は誠が肉じゃが食べたいとか言うたから肉じゃがやで」
「ふーん、うわっ、おいしそう♪」
「ふふっ、あ、まだつまみ食いしたらアカンで!」
「…せえへんもん」
「笑。誠呼んできて、お父さんは遅いみたいやから」
「はーい♪」