長編1
□2nd
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「おばちゃんおはよう。」
「おはよう春くん。いつも早いなー。」
「冴、準備出来てる?」
「あ、ちょっと待っといてなー。」
春休みが終わって今日から新学期が始まる。
また早起きの生活に戻ることに、少しのダルさを感じながらも準備を済ませて家を出ると
またいつもの朝が始まる。
「さえー。春人来てんでー!」
隣に冴を迎えに行くと
出てきたのは本人やなくて、あいつをそのまま大人にしたように瓜二つなおばちゃんやった。
呼んでもらいながら、玄関に置いてある鉢植えを見ると
小さいながらもちゃんと蕾を膨らませていることで、あぁ、もう春なんやな。って思ったりして。
『もうちょっとー。今来るからー。』
ほんまそっくりやな。って同じ様に語尾を伸ばす話し方が聞こえた廊下の奥。
しばらくするとバタバタと音を立てながらやって来た。(そんな急がんでもええけど)
『春人、おはよー。』
「おはよ。んなら、行こか。」
『いってきまーす。』
「いってきます。」
「いってらっしゃーい。気ぃつけてなー。」
お母さんに見送られて玄関を出て、他愛もない会話をしながら最寄りの駅まで歩いて5分。
ひとりやと遅くなるから。っていうのもあって
学校行くのはいつも春人と二人。
手繋いで若干引っ張られながら歩く。
〈朝は春人が迎えにきてくれて、手繋いで学校に行く。〉
これが私たちのいつもの朝で。何も変わることのない日常の1コマだった。
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