長編1
□5th
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梅雨に入った7月の始め。
今日は7日、七夕の日。
空に広がるはずの星は、今の空模様からは期待できなそうにないけど。
「…」
「何見てるん?」
「え?うん、今日七夕やから。」
「天の川?」
「うん…」
「まだ昼やけど。」
「うん(夜晴れるかなぁ…)」
「…今日曇りやし。」
春人の部屋のベランダから、曇り空を見上げて夜の天の川を探してみるけど
当然見えるわけなくて、隣に立って手すりに掛けた腕の上にある、いつもより低いとこにある春人の顔を見ると
「なに?」って首かしげてきたから
私も真似して目線を同じにしてみる。
「なんでもなーい」
「笑、なんやねん」
「…なんでもないの。」
あほ。って笑いながらクシャっと頭撫でられたからじゃないねん。
いつもより顔が近くてびっくりしてしもたんやもん。
ドキドキしながら、見つめるとまつ毛長いなぁってちょっと羨ましかったり、
「春人、髪ちょっとのびてきたな」
「ん?あぁ、そろそろ切ろうかな…」