雨乞い
□そして日常。
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それは、ある日記が起こした小さな出来事。
そして日常。
小春日和と言えようか、そんな暖かい日差しのある散歩道。
休日で賑わう町外れの河川敷に辿り着いた。
此処で何があるかというと、―――何も無い。
気分的に、と言うか本能みたいなものでいつの間にか此処に来ていたのだった。
下を見ていれば、なにやら子供たちが楽しそうに遊んでいる。
そんな光景は今も昔も変わらないようで、とても微笑ましく思った。
「俺もずいぶん年を取ったものだな。」
苦笑を漏らし、懐を探る。
出したのは、古くなった分厚い帳面だった。
中を1ページだけめくる。
『日記集 壱』と大きく記されていた。
その下に、四人の名前。
壱 桂小太郎 弐 坂本辰馬 参 高杉晋助 四 坂田銀時
何時だったか、あれは昔の事。
「戦も激しくなった所で、お前らに協力してもらいたい事がある。」
そう、事のはじまりは自分の一言だった。
俺はあの時も同じように懐から帳面を出した。
「あ?何だってんだヅラァ、金なんかねーぞ。」
「ヅラじゃない、桂だ。万年金欠のお前にそんな話など持ち出すわけなかろう、とにかく話を聞け。」
少々納得いかなかったのか、銀時はその台詞を聞いた途端不機嫌な顔になった。
「まあまあ、そんな顔しとっても金は出てこんきに。飴ばやるから機嫌直すんじゃ銀時。」
そんな銀時に辰馬からのフォローが入った。
「マジで?あ、じゃあ俺イチゴ味な。」
飴一つで不機嫌もイチコロのようだ。
其れを確認すると、桂は先ほどの帳面を開いてみせた。
「「「ん???」」」
三人で中を見てみるが全てのページが白紙だった。
コレが一体何だというのか。
訳の分からない張本人を見ても、何やら微笑を浮かべている。
正直、気持ち悪い。
そんな桂を見てから、高杉はげんなりした顔で言った。
「意味わかんねーよ。なんだこの帳面?真っ白じゃねーか、馬鹿にしてんのか?」
やけに黒いオーラが見えたので、桂はたじたじになりながらも説明をしようとした。
「だからっ、イヤそうじゃない。アレだ、え〜っ、」
「少し整理しろ、何も伝わってこねーから。この子馬鹿なのねって事しかわかんねーからホント。」
久しぶりに銀時の冷たい突っ込みが入った。