雨乞い
□マダオの憂鬱
1ページ/2ページ
なんつーかさァ、俺って何時もこんな感じなわけなんだよね。
そりゃあ偶には活躍してェ!!って云う時もあるけどな、いくらなんでもコレは・・・・
要は、オッサンにも限界があるわけなんだよ。
マダオの憂鬱
其れは確か、秋の日差しが柔らかいお昼過ぎ。
仕事もろくに見つけられないオッサンは公園でワンカップ片手に煙草をふかしていた。
「はぁ〜・・・。如何しよう、俺にはもうグラサンと髭しかねーよ。一文無しだよ、生活していけねーよ。」
この時、俺は現実の厳しさに絶望していた。
「あ、マダオネ。お前まだ就職してなかったアルカ。」
嗚呼、嫌な事は立て続けに起こるもんだ。
「お、お嬢ちゃんは確か銀さんとこの・・・。」
「神楽アル、いい加減名前くらい覚えろヨ。何回鉢合わせになったと思ってるカ。」
いや、それおじさんが望んだことじゃないから。
「で、その・・・。神楽ちゃんはどうしたんだ?こんなおっさんの所に来て・・・。」
「気安く私の名前を呼ぶなこのマダオが。それにお前に用は無いネ。このベンチに用があるアル。」
ああ、そうなの。何か酷いよね、いつもいつも。
「そ、そうかい・・。で、このベンチに何の用だい?」
「さっきからしつこいヨ。お前ずっと此処に居たんだから席譲るアル。」
文句を言われると同時に蹴り飛ばされた。
「げふっ!!いたっ!!痛いって!分かった、退くから蹴らないで!コレマジでお願い!!」
「うっさいなー。さっさとあっち行けヨ。それから、今度もし会った時は工場長とお呼び!このハゲ。」
おじさん何時禿げた?!やべっ、泣きそう。
「は、はいィ・・。工場長、スンマセンでした!!」
ああ、格好悪い・・・・・
結局工場長の所為で、
俺は其の侭公園から逃げざるをえなかった。
いつの間にか傾き始めた太陽の光で、グラサンが淋しく光った。