雨乞い

□季節外れの桜散る
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ひらひらと舞う、それは何だっただろうか?
見覚えがあるというよりは見慣れているソレ。
何ヶ月ぶりに目にしたか。

たった一つ季節を外れて舞い落ちた。



「桜・・・・か?」


確かめるように花弁を見つめると、遥か遠くの空を見上げた。
空から落ちてくるのは、純白の雪。
桜の影など何処にも見当たらない。

視線を花弁に戻すと、何処に落ちる事もなく姿を消した。

幻でも見たのだろうか?
そんなことを考えたが、後になってばかばかしくなり、桜を見たことはもう思い出さないことにした。


しんしんと音もなく降り積もる雪を、ぎゅっぎゅっと踏み歩いて、我が家へ向かう。
手には肉まんやらあんまんやらジャンプやら。
そんな類の詰め込まれたビニール袋を提げて、冷めていく食料を片手に感じながら自分なりに急ぎ足で。


それを暫く繰り返すと、淡く光の灯った我が家が少し見え隠れする所まで近づいていた。
今日は正月の二日目ともあり、店は殆どが休業中。
そんな中に何処で肉まんが作られているのか。

それは少し先のコンビ二であった。

何故肉まんかといえば、神楽がお年玉をせがんだのが始まりで、そんなものあるわけがなく(お年玉に見合うふさわしい金額が)
結局仕方なくコンビニで肉まんを買わされざるを得なくなったのだ。
しかもこんな日に限って新八も在中。
あの突っ込みマシンに促されてしまっては余計どうしようもない。


でも今日はジャンプの発売日でもあった。
それを考えれば、ついでなのかもしれない。

帰り道にそれまでの回想をちょっとポジティブにしてみると、少し気が楽になった様な気がした。






その頃には、もう先ほどの桜のことなどキレイサッパリ忘れていた。
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