雨乞い
□手を繋いで、裸足で走って
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「で、許してくれますか。ほら、お通のポスター持ってきたんだし。」
帰ってきた途端、コレだ。
少し遅いなと思ったら、ポスターを買ってきた為だったのだろう。
何処にそんなお金があったのか。
ツケで無いことを祈るしか無さそうだ。
「アンタ僕を何だと思って・・・、まったく。しょうがないですね、お通ちゃんに免じて今回だけは許してあげますけど、次は無いですからね。」
「マジでか!!やっぱ新八だなァオイ。今日はサービスしちゃう。」
「いらんわァ!!!そんな事よりも先にやる事があるでしょうが!!」
「え?夜のお仕事??」
キラリ、心なしか銀時の目が光ったような気がした。
「一人でやって来い!!って、何してるの神楽ちゃん?」
ふと目をやると受話器をもって立っている。
友達に電話だろうか?
「オー人事に電話アル。職場でホモ共がこんな時間から盛ってこっちもいい迷惑ネ。あ、もしもし・・」
予想外の相手に電話を掛けていた。
じゃ、なくて。
「ちょっ!!?だめだよ神楽ちゃん!!電話切って!!」
「うっさいアル。メガネはそこで寝てればいいネ。私は愚痴こぼすだけヨ。」
無謀な電話の取り合い。
このままでは壊れてしまいそうだ。
「オイ。いい加減にしなさいよ。壊す気ですかコノヤロー。」
銀時が言うと神楽はため息をついて、受話器を置いた。
チン、と電話の切れる音が鳴る。
「しょうがないから酢昆布三つで許してやるネ。」
そう残して、押入れに篭った。
「まったく、銀さんのせいですからね。神楽ちゃんだって本気でやりかねないんですから。」
「いや、ちゅーはまだ早いって。」
「何の話?!アンタだけ違う世界行ってるよ!!嫌だけど戻ってきて!!痛すぎるから!!!」
「冗談にきまってるだろーが。まったく・・・。案外積極的で銀さんどっきり。」
「アンタの勝手な妄想劇に僕を巻き込まないで下さい。訴えますよ?」
そうだ、あの時のキスだって。
嫌じゃなかったなんて絶対言ってやらない。
だけど今日は、特別に許してしまおうか。
「ねェ銀さん。人前でのキスはもうやめてください。
でもその代わりに・・・、万事屋でなら許しますから。」
「・・・、新八・・・。」
恥ずかしくてどうしようもなかった僕を、銀さんは優しく抱きしめてくれた。
ああ、この腕を、手を離さないで。
そして何処までも走って行けたら。
あの時の様にまた、あの声で。
あの言葉を言ってくれたら・・・・・、
f・・