雨乞い

□行き成り交換ノート
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「おーい、マヨネーズ星の多串君!!」
「あれ?旦那?」
「あン?誰だお前。」
「酷!?それは無いでしょう幾らなんでも!ほら、俺山崎ですって!」
「ああ、ジミーか。久しぶりだな。」
「山崎だっていってるでしょ、いい加減にして下さい。それで副長に何か用ですか?」
「ああ、コレをちょっとな。」

取り出したのはあのピンクとはぁとvのノートだった。

「・・・、何ですかその趣味の悪いノートは・・。」
「だよな、俺もそう思う。」

あははははと不自然な笑いが飛び交う。
何だか次第に虚しくなってきた。

「でも副長は今留守にしてるんですよね・・・。」

言いながら土方の部屋の方を振り返った。

「如何しますか?帰ってくるまで待ってます?」
「いや、いい。そこまでして渡したくねーし。」
「そうですか?副長喜ぶと思いますけど・・。」
「俺がそんな言葉でときめくと思ったら大間違いだバカヤロー。あ、でも後で渡すのも面倒だからジミー君代わりに渡しといてくれる?」
「山崎ね。次ワザとやったら知りませんから。」

怒ってはいるものの、元からの人の良さからなのか引き受けてくれた。
なんかジミーには似合いそうなノートだな、と内心思ったが敢えて言わないでおいた。

「それじゃ、宜しくなー。」
「あ、はい。お気をつけて・・・。」

結局土方に逢うこともなく、そのまま万事屋に帰った。


+++

暫くして土方が帰ってきた。
山崎がその事に気付くと、早速ノートを持って部屋に直行した。
「副長、居ますかぁ?」
「あ?何の用だ。」
「えと、旦那からノートを預かったんですけど・・・・。」
「・・・・・、入れ。」
「は、はいっ!!」

ススス・・・
遠慮がちに襖を開けると、そこには土方が居た。

「副長、ノートを・・・・・「山崎。」

「はぃ・・?」 

ザシュン!!!


「ひっ・・・?!」

それは本当に突然だった。
土方の愛刀が弧を描くようにして自分に襲い掛かってきたのだ。
特に驚いたのは、ノートを狙う土方の目だ。
飢えた獣のように其れを見る様は、本当の獣のようだった。

「山崎・・・そのノートの中を見たのか?」
「いっ、いいえ見てません!!そんでもって開いてもいませんんんんんん!!」
「本当か?」
「はいぃぃぃぃ!!!何もしてませんッス!」
「よし、分かった。この事は他のやつには一切口外するな?わかったか?」
「分かりました!ですから刀を納めてください!!」

チャキ、カシャン。

了解とでもいうように、刀を納めて合図した。

「下がれ。」
「はいっ!失礼しましたァ!!」

山崎を部屋から追い出すと、土方は畳に置かれたノートを手に取り、早速ページを捲り始めた。
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