空をとぶ5つの方法


B & Soul title
 Thank you 20000Hit♪


ー soul ー :07
「見て見てーうまいでしょ?私の芸術!」「テスト用紙の裏にかよ…しかも赤点…ってコレも採点されてる?!」
ね?キリン♪とニコニコ無邪気な笑顔で今返却されたテスト用紙を俺の前でひらひら。いや用紙の原型を失い立体化してるからひらひらという表現はおかしいな。テスト用紙でキリンの模型を作ってしまうあたりがすでに何だかおかしい(常識を逸脱している)ような気もするが。
すごいな…パティーは。
そうポツリと漏らせば、また楽しそうに声を上げて笑うパティー。
じゃぁ、これあげるね♪
驚いて声を出すタイミングを見失った俺の前にどんと置かれた赤点用紙の黄色いキリン。…俺にどうしろと?そんな俺を置き去りに小さな奇才の芸術家は次の興味に惹かれこの場をさっさと後にした…残された俺とキリン。どうしたもんかこのキリン。…捨てるには勿体無いような。かといってこの意外と大きいこのキリン。そもそも他人の解答用紙を貰うとはこれ一体。よっモテ男!とかこの創作者の姉に小突かれる。モテ…なんだって?
大事にしろよそのキリン
今日、外雨降ってるんだけど

ー soul ー :08

「バカだな‥‥」

「もー、ソウルうっさいなー」

「どうせまた無茶したんだろ」

「無茶ってのはある程度しないといけないものなのよ」

「‥‥‥」

「本気ともなれば多少の無茶は当たり前!」

「‥‥はぁ」

「また溜め息‥‥って何?何!?」

「ちょっと黙ってろ」

何時も何時もお前はそうやって俺の心配も無下にする。この正常で心地よいリズムを打つ心音を確かめて何度安堵したことか。
君の心臓はトクベツ (こんな心地良い音を奏でるのは、君が生きてる証だから)
ー B ー :09

みた?みたみた?ジャスティスの新技!すっげーかっちょいー!こうガシーンときてこう、コウ、こうなってズドーン!

ねぇ将太郎、私‥‥

時折、君のその目に宇宙を見るよ
なんて無邪気なんだろう貴方は
ー soul ー :10

ああああ、ああ‥‥ああの、‥‥‥‥ぁの、あの‥‥‥の‥‥エット、その‥‥‥あの、あの‥‥あ、あ、あ‥‥‥‥‥‥‥‥あの‥‥

ん?なぁにクロナ?

あ、‥‥‥‥‥‥‥あの‥‥‥‥‥‥‥あの、あの‥‥

うん?

‥‥‥‥‥‥‥あ、あふぇ‥‥‥‥‥‥うっ‥うぅ‥‥‥ぅ‥‥‥‥

‥‥?

ややややや、や、や、やっぱりやっぱり や、やめとくよー

え?何を?

うぅ…僕ヘヤノスミスに戻るよ

うん?またねクロナ

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥うん

じゃ、また明日ね

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥あの‥‥‥

ん?

‥‥‥‥‥‥‥す、

‥‥?

‥‥‥‥‥‥‥す、すすすす、すす、すっすっ‥‥すーすー、すぅー、すうぅうっ‥‥‥‥‥‥‥ぅ

す?

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

‥‥‥


‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥き

‥‥‥‥‥‥‥え?
あ、ちょクロナ?!

言うだけ言って逃げた
これが僕の精一杯。

ー soul ー :11

びくっと身体が無意識に跳ね上がる。まるで鋭い電流を浴びたかのように。どうしたの?とエルカが私の異変に気付く。何でもないそう答えて彼女から離れた。
「‥‥ぅ、あッ」
壁に手をつきかき毟ような体内の蝕みにぐっと胸を鷲掴んだ。身体の中を不規則に右往左往這い廻る…蛇。引き摺るようにあの人の元へ足を進める。
「ふふっ…遅かったわね」
今の自分とはまるで正反対の涼しい顔。用があるならもっと別の方法で呼んでほしい。文句を言うにも荒い息がそれを邪魔する。また私の中の蛇が一際大きく暴れた。悲鳴さえも忘れ床に縫い付けられるように蹲る。
「クスッ‥‥可愛い子。今日は特別に一匹取ってあげるわ」
「‥‥いッ」
何とも言い表しがたい異色の感覚
吐き気がする。
背中から抜き取られるように現れた一匹の蛇は私の頭をするりと抜けて主人の元へ戻っていく。
「ふふふっ、貴女の中には後何匹いるのかしらね?」その声に答えるかのように私の中の蛇が疼めき合った。
雑音  ――自由など与えない。

ー B ー :12

「エ、ミ  ネ…?」

ああ、見られてしまった。貴女にだけは知られたくなかったのに。
「‥‥ッあ」
貴女にまで飛び散った真っ赤な血
普段見る血とは比べ物にならないほどドロドロした液体。震える手で貴女は自分の頬についた血をなぞり認識する。目を見開く貴女。貴女はあの日から将太郎が刺されたあの日から俺たちが道化師に目覚めたあの日から血が苦手になった。見るだけで今のように顔を真っ青にして身動きすら取れなくなるほどに血が苦手になった。
「‥‥あ、あぁ‥‥ッぁ」
ああ、苦しそうに蹲り震える貴女を抱き締め支えられたらどんなにいいだろう。でもこんな赤黒く汚れた手では貴女に触れることもできない。これからもずっと。そうか今日が日常の終わり、貴女との繋がりを断ち切る日なんだと。傍にいられないんだ。もう。
這いずりながらも必死に呼び止める貴女の声を振り払い、走った。
たった一つの真実に、全てが狂い出す
貴女と呼ぶのは無関心でいることへの苦し紛れの意思表示。




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