コルデ


B & Soul title
 Thank you 20000Hit♪


ー soul ー :13
随分放置していた私の髪はショートを越えて、ロングのやや一歩手前。そんな微妙な長さになっていた。キッドに前々から何度か(何度も)指摘は受けていたがその度に知らぬ顔で受け流していたが流石にそろそろどうにかした方がいいのかもしれないなぁと思い始めた今日この頃。ダラリと身体を机に預けて髪をひとつまみ鼻先でちらつかせてみる。このまま伸ばそうか前と同様切ってしまおうか。
くいくい少し引っ張られた感覚。ふと気づくと私の両脇にはファイアとサンダー。私の髪を掴みながらにこーと笑っている。ふたりは顔を見合わせたのを合図に私の髪を編み始めた。せっせと編み込むふたりが可愛くて可愛くてふたりに任せて出来上がったのはふんわり三つ編みファイアサンダーは私の前に回って自分達の出来栄えを確かめてにっこーと笑い両サイドからぎゅっと私を抱き締めたああ可愛すぎる。双子の三つ編み
ー soul ー :14
振り上げられた大鎌。光沢を放った鋭い刃が月に反射し煌めく。猟奇的で残虐な事件が後を絶たないと最近物騒な噂が流れていた。その噂にもっと耳を傾けるべきだった警戒すべきだったのだ。今思えばなぜこんな暗い夜道を一人で歩いていたのだろうか。だがもう遅い助けを呼ぶ声も忘れ、足は震え動かない。何よりももう何もかも何をやっても手遅れだ。振り下ろされる刃よりも速い抗うすべを私は知らないから。だからこんなに近くまで刃が来ているのに、何も出来なかった。ボッ、赤い閃光が私の鼻先を走り、男が吹き飛ぶ。
「行くわよジャッキー」
「ええ」
業火で狂鬼の男を薙ぎ倒すその光景には酷く不釣り合いな高いソプラノ。数回の瞬き後それは一掃。
カランッカランッ....
「大丈夫?」
信じられない私と然程変わらぬ年頃に見える女の子。あの大男をあっという間に…というかあんな大量の火どこから?無言硬直な私に自分は死武専の者だ、と説明された。何やら他にも言われたような気がするが呆然とする私の頭では右耳から左耳へのスルー。記憶として定着せず聞いていないも同然と化してしまった。カランッカランッ独特の軽い高音を打ち鳴らし淡い焔を照らす角灯ランプを持った少女「今度からは夜道は気をつけてね」それじゃ、っと変形したランプに乗って空へと消えた不思議な少女。角灯ランプの残り火が流れ星の様に軌跡を描いて去っていく。不思議な不思議な出来事。あっという間の出来事だった。私は幼い頃読んだ絵本の中から現れた少女だったんじゃないかなんて思ってしまった南の町の魔法使い
ー soul ー

夕方には人を感傷的にする作用があるらしい。何処かで聞いた何かに書いてあった多分そうらしい。別に科学的にとかちゃんと証明されなくても特に問題はない。唯でさえ薄暗い私の気持ちには何時も以上に必要以上にこの夕日がしみるのだけは確かだから。
グスッ…
泣くのはみっともないからと自分に言い聞かせ我慢するももう一寸で睫毛から零れそうでもこれはノーカンだろうきっと。自分の間抜けさと惨めさに将来性がまったく見えてこない。将来に希望が持てないのは自分の至らなさからの失望からなのか勇気も根性もあるのか怪しい自分の弱さや自信のなさなのか。どちらにしても私には希望を持てる要素など何一つ持ち合わせていないように思えてならないああ夕日が胸にしみる。日が暮れる夕焼けにはためく黒をふと見上げる何だろうあの黒い塊は。ん?…人?
「ねぇ、」「ん?」
わりと高めな避雷針にはためいていたのがマントだとは思わなかったましてや死神様だとも「そんな所で何してるんですか?」「夕日を見ているんだ」ふーんそうだねそう見える「君もか?」「うん」パカッと外れるお面というかお面だったんだ死神様ってこんなに若かったんだ「神様は年をとらないんですか?」「俺はまだ子供だ」あらら人違い神様違い死神様の息子なのだと一言神様にも息子っていたんだ。「実に素晴らしい夕日なものでな、美しい左右対称だ」「…はぁ?」やっぱり神様と普通の人とは感覚が違うのだろうか「私はちょっぴり悲しいです」夕暮れの暗いオレンジは。「そうだな少し考えてしまう」意外だ「神様もセンチメンタルになったりするんですか?」「当たり前だ、俺もまだまだ未熟者だからな」すっと落ちていくように私の中で何かが引いていった「そっか、そうですよね」ああ私はまるで自分一人がどうしようもない人間未来を有望視することすら出来ない惨めな人なのだと思っていた「神様も頑張ってるんですね」先が見えない不安を抱えながらも前へ進もうとしている「ねぇ、死神様?」「慣れない呼び名だなキッドでいい」それが貴方の名前…「ねぇ、」貴方のことがもっと知りたくなりました。神様なのに身近な貴方を。
友達になれるだろうか。何って切り出そうかな。  15: ねぇ、
ー soul ー :16
おっとの帰りがおそいの。どこをほっつき歩いているのかしら。もうしかたのない人ね。青いシートを広げたまいホーム。おっとの帰りをまってるの。おそいなーブラックス…おっとは。おままごと中なの。いっつもおけーこばっかりしてるブラックスターをやっとせっ得したの。きせきてきな今日なの。いっつもチャンバラごっこなんだもん。わたしにはパパもママもいないのブラックスターもわたしの少しあとに死ぶせんに“ほご”されたの。つよくてやさしいわたしの幼なじみ。でも帰りがおそいの。ほんとにおそいの、きっとうわきーなの。‥‥‥‥‥おそいの。おそすぎなの‥‥‥‥いつものくせでちいさくなってコロがろうかとおもったの、そうしたら、ドサッなにかがたいりょーにふってきたの「カミがかりなおっとが帰ってきたぞ」ででーんとにおう立ち。シートいっぱいのお花。お花でおぼれそうなの。まいホームがすいぼつしたの「お帰りなさいあなたはせかいいちのおっとのなの」「おれはカミになるオトコだからな!」「そうねそうなの」ロマンチック    どの絵本の王子様よりも




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