Novel

□REAL
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お前はまだ知らないのだろう。
その言動の一つ一つがどんなに俺を苦しめるのかを…


REAL



海人にどやされつつ一日を過ごしたアキラの元に、遂に待ちに待ったこの日が来た。
そう…今日は樹との約束の日。
即ち、大義名分を以って堂々と樹の元に馳せ参じる事の出来る日なのだ。

(遂に…遂にこの日が…ッ!!)

アキラの目に軽く涙が滲んでいるのが見える。
いそいそと支度をするアキラはまるで恋する乙女状態だ。
着ていく服を選ぶ姿も初デートに臨むべく気合を入れる少女の如く、爛々としている。
大の男のそんな姿は、はっきり言って気味が悪い。
樹に恋心を抱いてから、すっかりキャラが変わっている事にアキラは全く気が付いていない。
いや、気付いていたとしても彼にとってはどうでもいい事なのかも知れない。
とにかくそれ位、アキラは舞い上がっていた。
樹との待ち合わせ時間は十時。
待ち合わせ場所までは三十分と掛からない。
そして現時刻は七時半。
それだけ見ても、彼がどれだけこの日を楽しみにしていたのかがお分かり頂ける事だろう。
全ての身支度を終えたアキラは時計を睨みつけながら、時の過ぎるのを待ちわびた。
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