□ろく
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 今日はテマリさん達とお出掛
 け。カエデは嬉しそうに朝か
 らチョウジに話していた。(
 チョウジも行きたそうな顔を
 してカエデの話を聞いてたな
 あ。)カエデと、テマリさん
 とシカマルの子供いろはちゃ
 んは、仲良しさん。二人でよ
 く遊んでいるみたい。今日は
 いろはちゃんが居るから、ご
 機嫌なのかしら?母親として
 は少し複雑。でもいろはちゃ
 んはシカマルに似ず可愛いし
 (酷い)素直で、自分の娘みた
 いな存在。カエデといろはち
 ゃんを見てると、昔の私達イ
 ノシカチョウと被って見える
 。何時も一緒で、三人傍に居
 ないと落ち着かない。一人で
 も欠けたらイノシカチョウで
 はなくなる。懐かしい気持ち
 になり、胸の辺りが暖かくな
 る。私達の前を仲良く手を繋
 いで歩く二人。何時までも仲
 良くいてほしいと願う。



 「秋道…」



 後ろから名前を呼ばれ振り向
 くと、我愛羅さんが居た。初
 めて声を掛けられて、少し驚
 いた。カンクロウさんとは何
 回か話した事があるけど、我
 愛羅さんとは全く無い。風影
 様だから仕方がないと思うけ
 ど、昔あった中忍選抜試験の
 件もあると思う。当時リーさ
 んと戦っていた我愛羅さんは
 、私から見て完璧な"恐怖"
 その物だった。絶対的な力、
 獣には程遠い化け物の姿。そ
 んなイメージしかなかった。
 でも今は違う。そう頭の中で
 理解していても、拭えれない
 何かが自分の中でつっかえる
 。いけないと思いながらも、
 喉がカラカラに乾く。



 「な、んですか?」



 振り絞って出た声は、自然な
 言葉ではなく、どもっている
 。まずいと思い彼を見ると、
 怪訝な顔をして私を覗き見て
 きた。少し肩に力が入る。



 「……今日、世話になる。」
 「ぅ、え?」
 「……ありがとう。」
 「ぇ、え。」



 いきなり"ありがとう"と言っ
 てきた我愛羅さん。私は予想
 外の言葉に、訳が分からずに
 いたが、何とか言葉を繋げた
 。



 「全然ですよ!」
 「…ナルトも…来るか?」
 「はい!集まる皆の中で一番
 楽しみにしてましたよ?」
 「……そうか。」



 (あ、…何だ。)



 我愛羅さんは普通の人なんだ
 。勘違いしていた自分が何だ
 か恥ずかしくなってきた。何
 も怖くないじゃない。昔の怖
 い少年は、もう何処にも居な
 い。今居るのは仲間想いで、
 家族を愛している男性だ。





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