□はち
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 (ゆびきりげんまん、お父さん
 おぼえてるかな?)



 木の葉の賑やかな繁華街で、
 トボトボと肩を落として歩く
 小さな女の子が居た。行く宛
 もない、何の目的もない、た
 だあの場所から逃げ出したか
 った。何故か嫌だった。悲し
 かった。少女の気持ちとは逆
 に、周りは賑やかで何時もの
 明るさがあり、いろはの小さ
 な肩が、益々小さく見えた。



 (お父さんと、そっくりなおか
 おだったら、よかったのかな
 ?)



 テンテン達の言葉が、いろは
 の頭から離れなかった。いろ
 ははまだ四歳。大人の言葉を
 真に受けてしまう。その素直
 な性格は両親譲りではないが
 、いろははテマリとシカマル
 の愛の結晶なのだ。だがそん
 な事をいろはは知らない。幼
 い故に、余りにも無知。



 「…どうしよう。」



 テマリ達の居た場所から遠く
 離れた所で、いろはに二つの
 不安が襲いかかってきた。一
 つはテマリ達に何も言わず、
 勝手に抜け出した事。勝手な
 事をして皆に怒られると、い
 ろはは泣き出しそうになった
 。そしてもう一つは、シカマ
 ルへの不安だった。



 (きらいになっちゃ、やだよ。)



 お父さん、お父さん。と父親
 を求めて歩き出したいろは。
 涙目になりながら、昔の記憶
 を頼りに、シカマルの居るで
 あろう火影邸を目指すことに
 したらしい。テマリ達の所に
 帰れば怒られる。しかも、ど
 う戻ればいいか分からない。
 家に帰れば、直ぐに見つかっ
 てしまう。いろはが考えに考
 え抜いた結果がシカマルの所
 だった。



 どうして父親の所へ行こうと
 思ったのか?いろはは気付い
 ていないが、安心したかった
 のだ。自分はお父さんの娘だ
 と、似てなくても好きだよと
 、前みたいに抱っこしてもら
 いたかった。だから会いたい
 。いろはの足取りは益々早く
 なった。



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