短編2
□ブルーベリータルト
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今日の天気は晴れ。
雨季だというのに、まるで俺の気持ちに答えてくれたかのように、晴々とした天気だ。
「……すっげ…」
自分の部屋に付いている窓から見える空には、大きな黒い雲も何もない。ただ青いだけだった。
「雲がねぇな…」
「……そうね。」
「か…母ちゃん;」
シカマルがベットの上でのんびりと窓の外を眺めていると、いきなり横から何時もの聞き慣れた声が聞こえた。
いつの間に自分の横に居たのだろうか。我が家の主、奈良ヨシノがニッコリと笑っていた。右手に包丁という凶器を握り締めて…
「いい御身分ね、シカマル。早く起きなさいって何度も私は言ったわよ。」
「…;(おいおい!朝から何だよ!)」
「……早くしなさい。」
「…はい;」
天気が良いと云うのに、俺の気分は氷点下まで下がった気がした。
母ちゃんに逆らうと面倒臭いことになる。そうなる前にと、シカマルはさっさとベッドから起き上がり、ヨシノの後を追うように下へと降りていった。
「お…やっと起きたか、シカマル。お早うさん。」
「…はよ。」
リビングに行くと、奈良家の大黒柱シカクが朝食後のお茶を一杯飲んでいた。
ヨシノに早くご飯を食べなさいと一喝され、大人しく椅子に座り、目の前に置かれている朝食を食べ始めたシカマル。
「シカマル、今日も任務か…?」
「モグモグ………ああ。」
「…そんなに任務が楽しみなのか?」
「ブッ…」
うお!汚ないじゃねぇか!と、満更でもなさそうに言う父・シカクを、鋭い目付きで睨みながら一旦落ち着こうとお茶を一口飲む。
「……嬉しくねぇよ、任務なんてよ。」
まさか顔に出ていたとは。
父親に勘づかれる前に早く朝食を食べてしまおうと、また食べ始めたシカマル。そんな息子の様子を、ニヤニヤ笑いながら見守るシカク。
今日は中忍選抜試験の為、砂から使者が来る日。
(誰が来るか何て…決まっている。)
気の強く、あの強い意思を持った瞳を持つ女、テマリが木の葉に来る日だ。
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