短編2
□涙色空色
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私は唯お前と幸せになりたかっただけだ。
お前と同じ幸せを見て、感じていたかっただけだったんだ。
「……っ…く…」
目の前には幾つもの忍びの死体が転がっている。周りには木が生い茂っていて、所々に返り血がついていた。其れが自分の血なのか、敵の血なのか分からない。
唯分かるのは、私はもうすぐ死に行くことのみ。
「……はっ…ぁ…」
呼吸が出来ない。
立ち上がることも出来ない。
呼吸器官をやられたなと頭の隅で考えていると、急に上から雨が降りだした。
そうだ…あの日も雨だった。
「…S級任務?」
「ああ。」
「…何時だよ。」
「明後日だ。」
「……っ…何で早く言ってくれなかったんだよ。」
「…すまない。お前には言えなかった。」
あの日も雨だった。泊まっていた宿の部屋の窓の外はシトシトと雨が降っていた。
まるで私の変わりに、泣いていてくれてたみたいに。
「…ふふ。」
笑いながら、まだ力の残る掌で地面の土を力強く握った。
敵にやられた胸と背中から血が流れていくのが分かる。
「…何言ってんだよ?」
「…だから、私と別れろ。」
「そんなこと出来るかよ!」
「!?…駄目だ。」
「あんたは何時もそうだ!自分で勝手に決めんなよ!自分で勝手に悩んで、苦しんで、決めつけるんだよ!」
「…い…うな。」
「何なんだよ!じゃあ俺の気持ちはどうなるんだよ!俺のあんたに対する気持ちは何処にぶつければいいんだよ!」
「……シカマル。」
「…っ……くそっ!」
シカマルと別れようとした私に、彼奴は激怒した。
その怒りは、私が別れを出したことになのか、私がS級任務に行くことになのか、それとも自分の不甲斐なさになのか分からなかった。
「……シ、カマル。」
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