文置き場
□一歩前へ
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そんな状態のまま半年が過ぎた。
気付いてしまったあの日から、何度千早の笑顔見ただろうか?
思い出せないのはボクの頭が悪いから?
いつの間にか話すことも減っていた。
相談するなら律子がいちばんだってことは分かっていたけど、心配をかけさせたくなかった。
表情には出さなくても、人一倍心配性だってことくらいボクにだって分かっていたから。
距離はーー遠く遠くなっていた。
心にぽっかり穴が開いたみたいで、元気だけがとりえなのにベッドから起きるだけでも重労働に感じていた。
「ちはや・・・りつこ・・・」
ぼそりと呟いた名前も声になっていなかったのか、自分の耳にすら届かなかった。
重い足をなんとか動かし学校へ向かった。
今日もいつも通りーーのはずだった。
教室のドアをがらりと開けてふと違和感を感じた。
なんだろう・・と周りを見渡してみる。
「・・え?」
違和感の答えは意外とすぐ見つかった。
でもそれはボクを不安にさせるには十分すぎるものだった。
「千早は・・・休み?」
「多分ね。いつも早い如月さんがまだ来ていないってことはそうだと思うよ?」
「そっか・・ありがと」
お礼を言いながらも頭はまっしろだった。
欠席なんて珍しくないこと。ーーーーーボクと千早を除いては。
あの日ーーー
「律子が休んでて寂しいから絶対休まないでね!千早!」
「そうね、そのかわり真もよ。約束しましょ?」
「もっちろん!」
いろんな約束をしてきたけど、この約束だけはトクベツだと思ってた。
それは千早も同じだって。勝手に思い込んでいたから。
何も考えたくなくなった。何を信じればいいのかも分からなくなった。涙も出なかった。
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