2人だけの歴史
□2人だけの歴史N
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「ちょっと図書室に行ってきます。」
俺は昼休みを利用して教材を作成するために、図書室へと向かった。
昼休みの前半は皆、昼食をとるため、室内には生徒はもちろん、司書教諭さえいない。
静寂に包まれたこの空間で、俺はずっと離れない考えを、また頭に巡らせていた。
『本当の俺』の良さか…、
本当の俺に、良さなんてあるのだろうか。
室田はああ言ってくれたけど、
好きな人にきっぱり完全否定されると、
やっぱり自信なんて微塵にもなくなっちまう…。
…その時、
『――ガラッ』
勢い良く扉が開いた。