拍手SS

□KOTODAMA
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「本日の任務完了!解散!」

 あ〜マジ疲れたぜ。とっとと帰りてぇけど報告書の提出に行かなきゃなんねぇ。めんどくせぇな。

「お疲れ〜!あ、チョウジ、シカマル後で寄ってよね」

「うん!立ち食いソバ食べたら行くね〜」

「あぁ…そうか、後でな」

 くたびれた体で報告書を受付所に持って行き、外に出るともう満天の星空が広がっていた。

 家に帰るまでの2キロの距離をのんびり歩くとするか。

 途中「一楽」でラーメンすすってるナルトにちゃちをいれ、メンマと煮卵をつまみ食い。

 その10メートル先の立ち食いソバ屋で、3杯目をおかわりしていたチョウジに、4杯目頼んだらダチと認めねぇと忠告。全く世話がやけるぜ。

 角を曲がってあと1キロ。ランニングしているリーに出くわした。夜だってぇのに、パトロールがてらだってよ…ったく疲れてる時にはあまり会いたくないテンションの奴なんだよ…

 リーの無駄に高いテンションを、どうにかやり過ごして家まであと800メートル…おっといけねぇ!いのン家寄るんだっけな。そのまま東に150メートル反れた。

 流石にいつもは閑古鳥が鳴かんばかりの店先が、看板娘のいのが居るからか、今日が特別な日だからか分からねぇが、大いに賑わっていた。

 人混みの中、ようやく用を済ませて家に帰る途中で、賑わう商店街をぶらぶら歩いていると、前からテンテンが歩いてきた。

「今日はね、私が晩御飯作るんだ。だから材料の買い出しなの」

 照れ臭そうに言うテンテンの買い物籠には、人参・じゃが芋・玉葱・白滝・肉が入っていた…肉じゃが作るのか?

 家路を急ぐテンテンと別れて、商店街を通り抜け、北へ300メートル歩くと俺の家だ。

 周りの住宅を見渡すと、あちこちでともされる灯り。今夜はどの家の母ちゃん達も喜ぶ顔になんのか?まぁそう願いてぇな…

 俺の家まで15メートルくらいってトコで、どっかの家でおかずを作る匂いが風に流されてきた。ん〜こりゃ俺ン家からだな。

 なんで分かるかっつうと、煮物の匂いがやたらと味噌臭い。俺の母ちゃんは味噌煮を作ってくれるのはいいが、やたらと味噌とショウガを多く入れるんだよな〜

 近所の母ちゃん達って味噌煮はあまり作らないから余計に分かりやすいぜ。

 家の前まであと5メートル。味噌煮はどうやら鯖らしい。俺の好物だぜ!そして鯖味噌煮の匂いの発信地は正しく俺ン家からだった。

 家の扉に手をかけて、ただいまを言いながら扉を開ける。

「おかえり、シカマル」

 体を台所に置いて声だけで俺を出迎える母ちゃん…

 母ちゃんまであと2メートル…

 カタカタと箸が鳴る空の弁当箱と共に、赤いカーネーションが出番を待っている。


END




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