杜の賑わい
□夏まつり
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ピーヒャララ…
ド、ドン…
あ、太鼓と笛の音。そうか、明日は木の葉の里の夏祭りだっけ。大きな花火も打ち上げられるのよね。去年は班の皆で行ったっけ……
頭がキンとするくらい冷たいかき氷に、艶のある綺麗な林檎飴。ふわふわの雲みたいな綿菓子と、おっかない顔のおじさんが焼いてくれた美味しいトウモロコシ。
夜空に大輪の花が打ち上がり、皆で歓声を挙げて見ていたね。花火の色に染まるナルト君を見つけて……ずっとずっと見ていた。貴方の瞳に映る花火を………
だけど今年は見られそうもないな…
「おっはよう!ヒナタ!今から任務か?」
「お、おはようナルト君。任務じゃないけどね、あの…お使いで出掛けるの」
夏の空みたいに青く、くりくりした瞳のナルト君に話しかけられて、その瞳が眩しいからいつも真っ直ぐに見られない私。
「お使い?ヘェ何処まで行くんだってばよ」
「え…あ、あの、北の支部まで。あっちに居る日向一族の人達への伝達事項とか書類もあるから…」
「ふ〜ん大変だな。ネジは?一緒か?」
「ううん、ネジ兄さんは今日昼頃任務から帰る予定で、ただのお使いに同行させるのは悪いから私だけなの」
「え?ヒナタ一人だけで行くのか?危なくねぇかぁ?」
心配そうな顔して私に近づかないで欲しいな。だって、ホラ…ドキドキいってる心臓の音が聞こえちゃうかも知れないから。思わず一歩下がってしまうの…
「だ、大丈夫よ。火の国の領土内だし、北の支部の人達も途中まで一緒に就いてくれるから。それに……《白眼》で危険を回避できるもの」
「あ、そっかぁ〜《白眼》があったってばよ!なら大丈夫だな。気をつけて行くってばよ!」
安心した顔見たら嬉しかったけど、ちょっぴり寂しくなった。だって……
「そういやヒナタ、明日の花火大会までには戻るのか?」
「ううん……多分明日の夜中にこっちに着くから、見られないと思う」
今年は去年よりも近くで、一緒に花火を観たいなって思ってたのに。少しでもナルト君の強さに近づきたくて、頑張ってきた…
頑張れば距離も縮むかもと、一生懸命修業して……なのに性格なのかな、臆病な私は未だにナルト君との距離を縮められないよ。
「まぁ仕方ないってばよ!そういう日もあるさ。じゃあ気をつけて行けよ!!」
ナルト君は自分の班の集合場所へと駆けて行った。うん、そうだよ、仕方ないもの。こんな事くらいでグズグズ言ってちゃ駄目よね。
とにかく自分の使命は果たさなくっちゃ!急いで行けば、もしかしたら花火大会に間に合うかも知れないし。うん、やれるだけやってみよう!!
届ける荷物を背負い、一路北の支部へと私も駆け出した。
森を、川を、草原を、山を私は駆けた。
北の支部の人達と別れてからは、殆ど休み無しで走ってる。けれど木の葉の里はまだまだ先。
もうすっかり陽が落ちて既に星が瞬いているわ。仕方ないので、少し休憩して《白眼》で安全確認しながらまた進もう……
ドーン……
遠くから爆発音が聞こえた。音の方角を見ると……