捧げ物
□思い出は苦い味?
2ページ/4ページ
その一時間後
「……で?」
「えっと〜その〜」
「見て分かんだろ!鮭のお粥だってばよ!」
「これが……か?」
ナルトの大声で叩き起こされ、お盆の上の物を見てサスケは絶句した。
確かにお米から炊いたお粥……らしい。しかし粥の部分は微々たる量で、大半はオコゲだ。どう見てもオコゲと湯が大量に入った鍋にしか見えない。
その鍋の傍らには、得体の知れない黒い物体。
サスケが恐る恐る箸で摘むと、粉々になる。よく見ると赤い部分があった。要するに焼きすぎて真っ黒になった鮭の残骸だ。
「お、お前らぁ〜!!俺を癌で殺すつもりかよっっ!」
サスケが睨んだと同時に写輪眼の紅き色が瞳に浮き出てきた。それを見たナルトとサクラは青ざめてしまう。
「だ、だから言ったでしょ!ナルトのは焼きすぎで食べられないって!」
「そ、そう言うサクラちゃんだって!〜〜ご、ご免ってばよ〜サスケぇ〜!」
「まぁまぁ〜サスケ、許してやんなヨ。悪意は無いんだしさ♪」
ビビるナルト達に助け船を出しに来たのかカカシが顔を出した。
「さぁさぁナルトもサクラも今日は解散だ。サスケは俺が見ているから安心して帰れ」
二人は心配そうな顔をしながらも、サスケの機嫌を損ねた事で仕方なく部屋を後にする。
夕暮れが迫る頃、カカシが部屋から出てきた。
「あれ?ナルトとサクラ。帰っていなかったの?」
そうなのだ。ナルトとサクラはやはりサスケが心配で帰れなかった。
「先生!サスケ君の具合いどうですか?」
「ん〜薬飲んで今は寝てるよ。もう熱は下がったから明日には治ってるだろうね♪」
「先生……サスケの奴って……まだ怒ってたか?」
しょぼくれた顔をしたナルトがカカシに恐々と聞いたが、カカシは目を細めて
「さぁね。でもお前達の作った鮭のお粥は全部食べたよ♪」
「「えっ?!」」
ナルト達は耳を疑った。
「だ、だってあれだけ怒っていたのにどうして……」
「先生無理に食べさせたんじゃないか?」
カカシは益々目を細めて
「いやいやナルト、逆だよ。俺が食うなって止めたんだよ」
「「えぇっっ?!」」
またまたナルト達は驚いた。
「サクラのお粥は
『食べないで根に持たれると困る』
だってさ♪ナルトの鮭は
『これくらいの焦げが食べれなくてそれでも忍か?っ馬鹿にされたくないから』
だとさ♪」
「「………」」
「ま、アイツなりの感謝の気持ちなんだろ〜ね。一応胃薬も飲ませたから大丈夫でしょ♪ね?安心した?さぁ今日は帰ろう」
「はい!」
「わかったってばよ!」
二人の曇っていた表情が、ぱぁっと夕焼けの空の色のように明るく変わる。
その頃サスケは胃もたれしつつも、満足そうに眠りについていた。