捧げ物

□思い出は苦い味?
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その一時間後

「……で?」

「えっと〜その〜」

「見て分かんだろ!鮭のお粥だってばよ!」

「これが……か?」

 ナルトの大声で叩き起こされ、お盆の上の物を見てサスケは絶句した。

 確かにお米から炊いたお粥……らしい。しかし粥の部分は微々たる量で、大半はオコゲだ。どう見てもオコゲと湯が大量に入った鍋にしか見えない。

 その鍋の傍らには、得体の知れない黒い物体。

 サスケが恐る恐る箸で摘むと、粉々になる。よく見ると赤い部分があった。要するに焼きすぎて真っ黒になった鮭の残骸だ。

「お、お前らぁ〜!!俺を癌で殺すつもりかよっっ!」

 サスケが睨んだと同時に写輪眼の紅き色が瞳に浮き出てきた。それを見たナルトとサクラは青ざめてしまう。

「だ、だから言ったでしょ!ナルトのは焼きすぎで食べられないって!」

「そ、そう言うサクラちゃんだって!〜〜ご、ご免ってばよ〜サスケぇ〜!」

「まぁまぁ〜サスケ、許してやんなヨ。悪意は無いんだしさ♪」

 ビビるナルト達に助け船を出しに来たのかカカシが顔を出した。

「さぁさぁナルトもサクラも今日は解散だ。サスケは俺が見ているから安心して帰れ」
 二人は心配そうな顔をしながらも、サスケの機嫌を損ねた事で仕方なく部屋を後にする。



 夕暮れが迫る頃、カカシが部屋から出てきた。

「あれ?ナルトとサクラ。帰っていなかったの?」

 そうなのだ。ナルトとサクラはやはりサスケが心配で帰れなかった。

「先生!サスケ君の具合いどうですか?」

「ん〜薬飲んで今は寝てるよ。もう熱は下がったから明日には治ってるだろうね♪」

「先生……サスケの奴って……まだ怒ってたか?」

 しょぼくれた顔をしたナルトがカカシに恐々と聞いたが、カカシは目を細めて

「さぁね。でもお前達の作った鮭のお粥は全部食べたよ♪」

「「えっ?!」」

 ナルト達は耳を疑った。

「だ、だってあれだけ怒っていたのにどうして……」

「先生無理に食べさせたんじゃないか?」

 カカシは益々目を細めて

「いやいやナルト、逆だよ。俺が食うなって止めたんだよ」

「「えぇっっ?!」」

 またまたナルト達は驚いた。

「サクラのお粥は
『食べないで根に持たれると困る』
だってさ♪ナルトの鮭は
『これくらいの焦げが食べれなくてそれでも忍か?っ馬鹿にされたくないから』
だとさ♪」
「「………」」

「ま、アイツなりの感謝の気持ちなんだろ〜ね。一応胃薬も飲ませたから大丈夫でしょ♪ね?安心した?さぁ今日は帰ろう」

「はい!」

「わかったってばよ!」

 二人の曇っていた表情が、ぱぁっと夕焼けの空の色のように明るく変わる。

 その頃サスケは胃もたれしつつも、満足そうに眠りについていた。
 
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