Gift

□その背が語るもの
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遠くに聞こえる歓声

高まる緊張

押し寄せる高揚感

試合前はいつも同じ

だけど、

今日は特別…――


 
 【その背が語るもの】







とうとうこの日がやってきた。
長いようで短かった半年。

“泥門 vs 王城”戦。

攻撃チームと守備チーム。

相対する特色を持つこのチームは、単に“ライバル”と一括りは出来ないほど、泥門にとって特別な存在だ。
それはきっと、王城にとっても同じ。
そんなチーム同士の決着が、今日、つく。

…ついてしまう…。



「おい」

声を掛けられ、まもりはハッとした。

「蛭魔君…」
「何ボーッとしてんだ。もうすぐ試合始まんぞ」

そう言いながらも、蛭魔はまもりに近付き横に立つと、トン、と壁に凭れた。

「…始まっちゃうね」
「始まるな」
「決まっちゃうね…」
「決まるな」
「なんか…なんだろ…自分でもよく分かんない…。王城って、上手く言葉に出来ないけど、特別だから…」

蛭魔は視線を前にしたまま息を吐いた。

「確かにな。だが、感傷的になんのは早ぇんじゃねぇか?まだ始まってもいねぇのに」
「そうだけど…これで終わりなのかと思うと…」

その言葉に、蛭魔は壁から離れると、まもりの前に立った。
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