Get/For
□潤未様へ
1ページ/9ページ
タルタロスの甲板に一人で佇んでいるナタリアの姿をガイは見つけた。
視線の先は、海のそのずっと遠くを見ていて、近づく自分に気付いている様子は見られない。
今現在、タルタロスはマルクトの首都、グランコクマへと舵を進めていた。
ピオニー九世陛下のもとへ、セントビナー崩落の危機とキムラスカと戦争を始める必要性のないことを報告しに向かっているところだった。
ダアトでイオンと共に監禁されているうちにキムラスカがマルクトに宣戦布告を表明したこと。またセントビナー崩落という事情もルークたちによってナタリアは知らされた。
オールドラントを愛するナタリアにとって、気を病むことではないだろうかとガイは心配していたのだ。
手すりに手を乗せて、ナタリアから少しだけ距離を空けて隣に立つと、ナタリアも気付いたらしく笑いかけてきた。
「良い天気ですわね」
雲ひとつない快晴。鮮やかな青色が目にまぶしい。
「そうだね」
ナタリアへと顔を向けると、呆れられたような表情と目が合った。
「…ガイは優しいですわね」
「え?」と聞き返すと、「心配して来てくれたのでしょう」と自信有り気に言われた。
.