The World
□.hack//S.W.
2ページ/9ページ
「実を言うと、誘われたのが本音っ」
ウィリアスはため息と一緒に言葉を吐き出した。
プレイヤー:睦月はぽかん、とウィリアスを不思議そうに眺めた。
「誰に誘われたの?」
「ん、もう少ししたらクルと思うから…」
そういうか否か、カオスゲートから一人の呪紋使いプレイヤーがログインしてきた。
そのPCエディットは最近のTheWorldではなかなか見かけない、とても細かく設定してありそうな姿かたちだった。
性別は女、第一印象を色にたとえるなら、蒼。
ほほにはねのような紋<ウェイブ>が施され、蒼の姿に紅い瞳がよく映えている。
睦月はその、蒼い少女呪紋使いに目を奪われそうになった。
ウィリアスはソレに気付いたのか、小さく苦笑いをし、睦月に告げた。
「彼女が僕を今回幽霊?イベントに誘った張本人。Mark(マルク)だよ。」
にこり、とマルクと呼ばれた呪紋使いは笑ったかと思うと。
「ちわぁw はっじめましてw こういう摩訶不思議イベント大好きなマルクっすw」
よろしくよろしくぅwと、テンション高めの笑顔へと豹変した。
睦月はさっきまでのギャップにとても驚き、一瞬固まってしまったほどだ。
「え…、えと。睦月っていいます。こちらこそどうぞよろし「よし、むつ、ね。うん、OKw」
「マルク、初対面の相手に向かってすぐにあだな付けるのは失礼だよ…(_ _;)」
ウィリアスは苦笑いをしたままそう、マルクに注意する。
マルクはマルクであまり気にしたわけでもなくソレでも、ごめんごめんw ついいつものくせでぇwと一度長く、蒼い髪をタラン、とぺこり頭を下げた。
「いいえ; ソレで呼びやすいなら私は一向に構わないよ(^^)」
マルクは睦月のその言葉を待っていたかのように下げていた頭を上げ、ニパッと笑顔になって、やぁりぃっ! と喜んでいる。
睦月はその光景が面白くてこらえていた笑いを噴出してしまった。
「アハハッ、マルクさん、おもしろいねぇw」
「そう? そりゃぁどぅもw」
で。とマルクは表情を一気に変え、とても真剣な顔へと変わる。
「幽霊イベント、どういった内容なの?」
やはり、先ほどのギャップが激しすぎて睦月は内心さらに驚いていた。
―――この人は二十面相か!!!
突っ込みたくても突っ込めなかった。
とりあえず、睦月はため息をひとつついた。
「それがですね…」
そして彼女は幽霊イベント、の詳細を説明し始めた・・・。