“苛立ち”

苛立ち
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夕焼けた街並みは帰宅を知らせ、満開の星は夜の訪れを静かに告げた

今は家々が静まり、今日の終わりを草木が知らせる――


そんな街の大通りを杖を持つ1つの影が、足早に真っ直ぐと進んでいた

影からして男性の様だが、宿屋に立ち寄る素振りもみせず、ただ 黙々と進んでいく
何やら目的が有る‥ と、いう訳でもなさそうだが足は止まらず、どうやら 無意識で進んでいるようだ

暫くその影は無心で進み、街の広場で歩みを緩めた――


(……まさか、ココに来るとは)

緩めた影は一瞬 驚いたようにも見えたが、直ぐにゆったりとした足取りで広場にある噴水を通り過ぎ、向かい側の木に近づいた


そして、自分の目の前にある立派な木にしゃがみこみ触れると、笑った瞳で地面から出た根を覗き込んだ


「まだ 残っていたんですね……」


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