“苛立ち”
□苛立ち
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探すように見つめた先に“何か”を見つけ小さな声で呟き、杖を持たない反対の指先でそっとなぞった
なぞった先には彫った文字が刻まれており
かなり古めかしく木が成長したためか、文字はうっすらとしか形を止めていない
この暗さでは確実に読めないだろう
そう判断したのか彼はその場に腰をつき、その木にもたれ掛かる様に空を見上げた
――光が瞬く
静寂の中 ただ 只、小さな星々と頼りない三日月が、優しく彼の姿を朧気に映しだした
未だ 見上げるその先に、流れた星が遠い記憶を呼び覚ますように―…