“苛立ち”

苛立ち
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探すように見つめた先に“何か”を見つけ小さな声で呟き、杖を持たない反対の指先でそっとなぞった

なぞった先には彫った文字が刻まれており
かなり古めかしく木が成長したためか、文字はうっすらとしか形を止めていない


この暗さでは確実に読めないだろう


そう判断したのか彼はその場に腰をつき、その木にもたれ掛かる様に空を見上げた



――光が瞬く

静寂の中 ただ 只、小さな星々と頼りない三日月が、優しく彼の姿を朧気に映しだした


未だ 見上げるその先に、流れた星が遠い記憶を呼び覚ますように―…


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