親世代五年生

□八話
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洗面台で顔を洗い、いつもはローブで拭うところを今日はスネイプからもらったハンカチで拭き、トイレットペーパーで鼻をかんでからリーマスの元へ戻った。
「お待たせー」
「うん。……それで、なにを話してたの?」
かくかくしかじか。リーマスに経緯を説明すると、納得して頷き、ぽんぽんと肩を叩かれた。元気を出せ、ということだろう。
励まされるような事態を招いてしまい、やはり気恥ずかしく思った。
「あんまり、抑えこんでちゃいけないよ。たまには話してスッキリするといい。…いつでも聞くよ」
「ありがとう。…でも、まあ、大丈夫」
「…本当〜?」
「うん。こんだけ泣いたからね…もう、恥ずかしくて死にそう。いろんな人にも見られたし」
明日、いや、今日にでも噂になるだろう。今すぐに全校生徒に忘却術をかけて回りたくなった。
さらなる好奇の視線に晒されることを想像し、唇を窄ませて渋面を作ると、リーマスは変顔になった私を見てふっと笑って言った。
「しばらくは気にしないようにしなきゃね」
「そうだねー。あ、あと、スネイプにした話は」
「わかってる。ジェームズたちには内緒でしょ?」
「うん」
リーマスがいてくれるおかげで寂しさが少しずつ和らいでいく。以前は友達なんていなくても生きていけると思っていたが、それは間違いで、ただの強がりでしかなかった。
やっぱり、ほんのわずかでもそばにいてくれる人がいた方がいい。
「ありがとう」

友達になってくれてありがとう。リーマス・ルーピン先生。
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