WoRD...

□自由の森
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『自由の森』




幼い頃、ママと行った森は
煌めく星の瞬きに包まれていた
手を引くママの足取りは、
どんどん速さを増していって
ふと見たその顔は
自由だけを求めていた

そう、きっとママは
私という鎖に縛られてたんだね
その鎖を解くために
この森にやってきた


ママのこと、愛してるから
何も言わずに
その呪縛を解いてあげよう
それしか、
私に出来る事はないんだから
泣きながら私を埋めるママの
涙を一粒、頬に感じた
その温かさだけが
責めてもの救いで
苦しめてごめんなさいと、
小さく呟いた



儚いもので埋まった森には
雨が降り注ぎ、花が咲き乱れた
ほら…また誰か埋められてる
愛する人に裏切られた気持ちを
誰かと共有できると
心から喜んだ

ああ、寒くて寒くて
体が凍り付いてしまいそうだわ
その人もきっと同じ
愛する人に埋められて


冷たい手が、どこか懐かしく
その眸が
とても寂しかったのは何故?
その手を、
握り返してやる事も出来ず
目尻に残った涙が大地を潤すと
貴女は優しく微笑んだ
ここは自由の森、
誰もが逝ける場所に
眠ろう、
母なる大地に包まれて




私たちが眠る間、
ここにやってきた人たちは
笑顔を浮かべ、
大地に身を投げて






儚いもので埋め尽くされた
自由の森は
今日も無音




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