コルダ2〜2fアンコールの話
□空を泳ぐ魚
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「うわあ……綺麗ですね、せんぱ…っじゃなくて、梓馬さん」
じろり、と軽くにらまれてしまい、慌てて言い直す。
この春に彼が星奏学院を卒業して大学生になり、もう同じ高校の中での先輩後輩の関係ではなくなった…とはいうものの、やっぱり昔からの呼び名をすぐには変えることができなくて、うっかりすると数ヶ月前の感覚に戻ってしまう。
「香穂子が好きそうだと思ってね、こういうの」
…香穂子、が強調されてるのはきっと気のせいではないはず;
うまく呼べない私に対する戒めみたいなものですかソレ。
本当はつきあい始めたときに呼びかたを変えてほしがってるような雰囲気だったんだけど、学院にいる間はやっぱり先輩だし、とかなんとか理由をつけて逃げてたんだよね…。
本当は今でも同じ。いくら大学生になったからって、やっぱり私にとって先輩は先輩で。
どうしてかわからないけど、梓馬さんって呼ぶのがすごくドキドキして恥ずかしくて、うまく口に出せない。
ていうか…あなたみたいに何でもスマートにはできませんって!