コルダ2〜2fアンコールの話
□だから、好きになった
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「日ー野ちゃんっ!」
読んでいた文庫本から顔を上げると、そこには懐かしい笑顔があった。
「やあやあ!元気だった〜?」と片手を上げるその仕草を見ていたら、まるで数年前に戻ったような錯覚に陥ってしまいそうになる。
「うん!天羽ちゃんも元気そうでよかった」
「元気だよー!体力がないとジャーナリストなんて務まらないからね。…まあ、まだ卵だけどさ。あはは」
別々の大学に進んだ私たちは、これが卒業以来の再会だった。
高校時代はあんなに毎日一緒だったのが嘘のように、お互い忙しい時間に追われてずっと会えずじまいでいたのだ。
ただ、天羽ちゃんからはよく近況を綴ったメールや手紙が届いていたし、私もメールや葉書なんかを出していたため、疎遠な感じはまったくしていなかった。
それは、これからやって来るもう一人の可愛い後輩に関しても同じだった。
「冬海ちゃん、少し遅れるんだったよね」私は先に何か頼もうか、とメニューを開く。
「習い事が終わったらすぐかけつけますって意気ごんでたねぇ!気持ちはわかるけど。私だってあんたたちに会えると思ったら、今朝からなんだかそわそわしちゃってさ♪」
聞きたいことがたくさんあるんだよ!と目をキラキラさせている様子は、やはり報道部の頃を彷彿とさせる。