本棚2
□風呂騒動
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「飯も食ったし、風呂でも行くか〜。ゾロも一緒に行こう」
「……そう、だな」
心なしか顔の赤くなったゾロにルフィはニカッと笑う。
「ちょっと待て。常々、お前に聞きたいことがあった…いいか?」
いつの間にかルフィの背後に立っていたサンジが険しい表情でルフィを見る。
「ふえ?おれに?いいけど…わっ」
サンジの表情に動揺しつつ、イスから立ち上がろうとするとイスに押さえつけられる。
「サンジ?」
「後片付けするからそこで待ってろ」
「お、おう。あ、ゾロは先に風呂入ればいいからな〜」
「……わかった」
ルフィをサンジに取られたのは気に入らないが居座るのも変かと思い、苦い表情でゾロはルフィの言葉に頷いた。
ゾロはサンジを睨んでから部屋を出る。
ゾロがいなくなり、部屋の中はサンジとルフィだけになった。
サンジはゾロが出て行ったのを確かめてからルフィの腕を引く。
「こっち来い」
「え?後片付けは?」
「もう終わってたんだよ」
訳のわからないままルフィはサンジに医療室へ連れて行かれた。
チョッパーは風呂に入っているだろうから不在だ。
「な、なんで医療室?おれ、ケガしてねェぞ?」
「今はケガ人もいない。チョッパーも今日はすぐに寝るだろ?つまり、誰も来ないからここを選んだわけだ」
「……そんな重大な話なのか?」
あまり難しい話をされても困ると思いつつルフィは真剣な顔でサンジを見る。
「重大だ。そこに座れ」
床を指差され、ルフィは雰囲気的に正座した。
サンジはチョッパー憧れの回るイスに座り、ルフィを見下ろす。
「な、なんだよ…」
居心地悪そうにルフィは視線をさ迷わせる。
まるで叱られる前の子供のようだ。
「お前さ、なんでおれのことは風呂に誘わねェんだ?」
「は?」
「風呂だよ、風呂。藻やウソップとかは誘うくせにおれは一度もお声が掛かったことがないんですが?」
サンジの怒りの視線にソワソワしながらルフィは見上げた。
「それが重大な聞きたかったこと?」
「そうだ。納得できる答えじゃないと何するかわからねェな」
言葉の意味はわからないがゾワッと背筋が凍るような視線にルフィは意味もなく首を横に振る。
「ち、違うって!いつもサンジ忙しそうだったから…」
「そんなことねェだろ」
「うっ…」
ピシャリと言い放たれルフィは言葉に詰まった。