本棚2

□日常
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「もうすぐ島に着くから準備しなさいよ」
「今から島?」
「そう。あの島」

甲板でまったりと転がっているとナミに話しかけられた。
ルフィは起き上がりナミが指差した先を見ると、小さな島が見える。
首を傾げてルフィはナミを見た。

「随分近づいてから言うんだな」
「誰かさんが露骨に喜んでる姿を出来るだけ見たくないのよ」
「誰かさん?」

嫌そうな顔でナミはアゴでその人物を指し示す。
その先には確かに嬉しそうなサンジがいた。

「サンジだ。なんで嬉しいの?」
「……さァ?本人に聞いてみたらどうかしら」

応えたくもないのか、ナミは適当にはぐらかして自分の部屋に戻って行ってしまった。
ナミの態度を不思議に思いつつ、ルフィはサンジに聞いてみることにする。

「なんなんだろ?まァいいか。おーい!サンジ!」

ルフィが手を振ると、サンジは嬉しそうな顔のまま甲板に来る。

「どうした?」
「なんで嬉しそうなんだ?」
「ん?気になるか?」
「うん」

ルフィは笑顔で頷いた。
こうして話している間もサンジは楽しそうでルフィも楽しくなってくる。

「なんでだと思う?」

楽しげに訊ねられルフィは考える。

「島に着くから」
「ま、そうだけど。お前が聞きたいのはなんで嬉しいかだろ?」
「うーん、新しい食材が買えるから…とか?」
「それもあるけど、それだけじゃない」

にこにこと笑うサンジを見ていても答えは出て来なさそうだとルフィは降参した。

「わかんないや〜なんで?」
「お前と二人きりになれるから」
「へ?」

思わぬ回答にルフィは間抜けな顔をする。
サンジはそんなルフィを見て笑った。

「島に行くとデートもできるわけだ」
「で、デートって……いつも一緒にいるじゃんか」

見る見るうちに顔が熱くなる。
きっと自分は今、赤い顔をしているんだろうと鏡を見なくてもルフィは分かった。

「一緒の空間にいても二人きりじゃないだろ〜船にいても邪魔者が多すぎて、なかなか二人きりになれない」

船は広くなったが船員も増えたので結局二人きりの時間はほとんどないに等しい。
それがサンジは不満で面白くなかった。
しかし、買い出しのときは自然とルフィと二人きりになれるので、ついつい嬉しさを隠せないのだ。

「そ、そうなんだ」
「そうなんだよ。早く島に着かないかなァ」

嬉しそうなサンジにルフィは気恥ずかしくも幸せな気分になる。
自分と二人きりで一緒に居たいと思ってくれていたなんて、ルフィも嬉しい。

「えへへ、そうだな」
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