本棚2

□媚薬と心配と素直な気持ち
1ページ/4ページ

「お疲れ様。ルフィ、もうバイトあがっていいわよ」
「はーい!サンジ、着替えて来るから待ってて」
「了解」

いつものバイトが終わり、ルフィは急いで裏方に入って行った。
サンジは笑顔で頷き、ルフィが見えなくなってからテーブルに突っ伏する。
そんなサンジを見て、ナミが話しかけてきた。

「あら、サンジ君。なんだか疲れ気味じゃない?温泉旅行どうだったの?」
「楽しそうでしたよ、ルフィは。まァ結構楽しかったですけどね」

三人の予定がなかなか合わず、温泉旅行に行けたのはつい最近だった。
はしゃぐルフィに牽制しあう二人。
どうせなら二人で来たかったと何度思ったか数えきれない。
そんなことはさて置き、サンジは今悩みに悩んでいるのだ。

「サンジ君の悩み…当ててあげましょうか?」
「へ?」
「あんた達付き合って結構経つけど、まだキス止まりでしょ」

にこやかに笑うナミにサンジは顔を引きつらせた。

「遊びとは違うものねェ〜本命には手、出しにくいわよね」
「うっ」
「でも、男ですものね。やりたくて仕方ないと」
「そ、その通りですけど…女性がそんなことを言うのはちょっとどうかと」

ナミの直球なセリフにサンジは驚きながらも図星なだけに否定はできない。

「ふふ、ごめんなさいね。でも、困ってるサンジ君を助けたいなァって思ったのよ」
「どういう…意味で?」
「はい、これ」

サンジの質問には答えず、テーブルの上にナミは茶色い小瓶を出した。

「栄養ドリンク?」
「パッケージはね〜でも、中身は違うの」

やけにニコニコしながらナミはサンジを見る。
嫌な予感を感じつつもサンジはついつい尋ねてしまう。

「なんですか?」
「媚薬よ」
「び……な、なんでそんなものをナミさんが?」
「入手経路は乙女の秘密よ。ふふ、欲しいでしょ?」
「…………欲しいです」

道徳的にどうとか人道的にどうとか言ってられないほどサンジは切羽詰まっているのだ。

「はい、値段はこんなモノよ。合法な物だし、即効性だし、副作用、依存性はないから安心してね」
「……めちゃくちゃ高いですね」

値段を打ってある計算機を見て、サンジはビビる。
一般人なら払おうとも思わない値段がそこには記してあった。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ