願い事の本棚

□5月5日 sideサンジ
1ページ/9ページ

もぞもぞと動く感覚にサンジは目を覚ます。
ルフィがすぐそばで起き上がっていた。
そういえば、昨日酔っ払ったフリをして一緒に寝たのだった。
手を出さなかった自分を心の中で褒めつつ、サンジはルフィに声を掛ける。

「おはよう、ルフィ」
「わ、ごめん。起こしたか〜」

どう見てもまだ眠そうにしているルフィを怪訝な表情で見てから、時計に目を向けた。
時刻は6時過ぎ。休日に起きるにしては早過ぎるくらいだ。

「まだ寝るか?」
「ううん、起きる」

ルフィはふらふらとしながらベッドから下りるとモソモソと着替え始めた。
まだ寝ても問題ないような早朝だがルフィが起きるというのだから仕方ない。たまには早く起きる休日もいいかとサンジも起きることにした。
元々寝起きはいい方なので別段苦痛もない。
むしろ、まだ眠そうにしているルフィの方が心配だ。
さっさと身支度を整えて、サンジは朝食を作る。
何か食べれば目も覚めるだろう。
目玉焼きやベーコンを焼き、手早く食卓に並べる。
ニュースでも見ようかとテレビをつけた。普段は見ない時間帯なので番組の内容が新鮮だ。
ルフィが食卓に座る頃には立派な朝食がテーブルの上に並んでいた。
ぼーっとしているルフィを微笑ましく思いながらサンジは食事を始める。ルフィもそれに続いて食べ始めた。
ふと箸を止め、ルフィはテレビを見る。

「あ〜、今日、誕生日だ」

ニュースを見ながら、ぼんやりと発せられたルフィの言葉にサンジは驚愕してしまった。
そんな話、聞いてない。
訳ありで一緒に住み始めて約3日。確かに言う暇もなかっただろうが。
しかも、別にサンジに伝えるために言ったのではなく、本当に独り言のようだった。もう気にしていないようにモグモグとご飯を眠気眼で食べている。

(好きなヤツの生まれた日は祝いたいに決まってんだろうが!)

ルフィに片想いをしている身だから、そんなことは言えないが、じとりとした目で見てしまう。
いつもより早起きしていたルフィはぼんやりしながら朝ご飯を食べていて、サンジの視線には全く気がついていなかった。
今から何かを用意するには、一緒にプレゼントを買いに行くのが精一杯だろう。しかし、それではサプライズさが足りない。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ