願い事の本棚

□5月3日 sideルフィ
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「ん……」

いつもの布団と材質が違う、匂いも。
ここは、どこだろう。
ルフィは夢現の中で、寝返りを打った。

「起きたか?」

聞き覚えのある優しい声に、大切なことを瞬時に思い出し、跳ね起きる。
周りはもうすでに明るくなっていた。時計を見ると、昼前。

「サンジ!」
「お、おお? おはようって、もう昼だけどな」

ルフィの勢いに驚きながらサンジは笑って挨拶してきた。
着替え終わっていて、すぐにでも出掛けられそうだ。

「おはよう。買い物…ごめん、寝すぎた」
「いや、疲れてたみたいだからな。休日だし、のんびり寝ればいいんじゃないか? まだ寝るか?」
「ううん、大丈夫。起きる!」

せっかくサンジと一緒に居られるのだから、寝ているの勿体ない。
ルフィは節々が痛む身体に気合いを入れて、ベッドから下りた。

「ん? おれ、ベッドで寝てたっけ…あれ?」
「あ〜、テーブルを枕に爆睡してたから、ベッドに運んだ」
「えっ…ご、ごめん。おれはソファーでよかったんだけど」

寝床が変わったくらいで寝付けないほどデリケートではない。むしろ、フローリングの上でも眠れる。
サンジの寝床を占拠してしまったことに罪悪感が膨れ上がった。
申し訳なさそうにしていると、右の頬を軽く抓られた。

「別にソファーで寝るくらいどうってことないっつーの。気を遣いすぎると疲れるぞ?」
「は、はーい」
「着替え、どうする? 一応乾燥機にかけてるけど、まだお前の服は乾いてないんだよな。おれの服でもいいか?」
「うん! ありがたいです」

朝からサンジは自分の服を洗濯してくれたのだろう。
何から何まで世話になっている気がする。
恩を少しでも返せるように、明日は早起きしようと心に誓った。



***



サンジの服はルフィには少し大きく、だぼっとしているがそういう着こなしにも見えるので大丈夫だろう。

ぎゅるるる

ものすごく腹の虫が鳴いた。
恥ずかしいが仕方ない。よく考えたら昨日はほとんど何も口にしていなかった。
お腹がものすごく減っている。

「ははは、スゲー音だな」
「うう、お腹すいた」
「はいはい、まずは昼メシにしようか」
「賛成!! 早く早く!」

引っ張るようにサンジを連れて玄関に向かった。
サンジも呆れてはいるがイヤではなさそうだ。
靴を履こうとすると靴ヒモがほどけていた。座って靴ヒモを結び直す。
ふと視線を横へとずらした時に余計なものが目についてしまった。
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