長編パラレル本棚
□3.裏通りでの出会い
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城下町はルフィにとって初めて見る場所だった。
「すげェ!店がいっぱいあるんだな!」
軒を連ねる出店にルフィの興奮も冷めない。
「興奮しすぎだろ……まァ確かにここら辺りでは一番でかい市場だからな。驚くのも無理ないか」
ゾロの言葉も耳をすり抜けて行っているのかルフィは辺りを見回すばかりだ。
話に聞くだけ、絵で見るだけの世界ではない。
ふいにエースの言葉を思い出し、ルフィは慌ててフードをかぶった。
「どうした?」
「おれのいた村から出稼ぎに来て、野菜や果物を売ってる奴がいるんだ…見つかるわけにはいかねェ」
フードを目深にかぶりルフィは内緒話をするようにゾロに話した。
「お前も訳ありか。まァ大丈夫だとは思うがな。これだけ人が行き交っている。一人の人間に注目することは少ねェ」
「そんなもんか?」
「あァ」
少しだけ安心したようにルフィは笑った。
家の中にずっと閉じ込められていたのだ。誰も自分の顔をはっきり覚えていないかもしれない。
改めて辺りを見回し、そしてルフィは目を見張った。
「なんだ……あれ」
「ん?なんか見つけたのか?」
無言のままルフィは裏通りへと続く道を凝視している。
ゾロも見てみるが特に変わったものは見えない。
ルフィは頭からフードが外れないように、ぎゅっと押さえた。
「あ!おいッ」
突然、走り出したルフィにゾロは声をかけたが止まることなく裏通りへ走っていった。
ゾロも慌てて、後を追い掛ける。