長編パラレル本棚

□4.再会と争い
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ルフィとゾロが宿に向かう途中に人垣ができていた。走って逃げる人もいる。

「何かあったのか?」

ルフィは近くにいる男に状況を聞いてみた。

「よくわからないが賊が出たらしいんだよ。なんでも一人の男を殺そうとしているらしい」
「賊?……うーん、ちょっと見てみたいかも。ゾロ、行ってみるか」
「お前、野次馬根性あるんだな…賊か、今夜の宿代になるぐらいの賞金首がいればいいけどな」

怖がる様子もなく二人は逃げ惑う人々と人垣を掻き分け、騒ぎの中心まで急いだ。
人通りが多いはずの道に不自然に途切れた人々。
辿り着くと煌めく金髪がルフィの目に見えた。

「あっ!」

ルフィは思わず叫んだ。
騒ぎの中心にいたのはさっきの王子だったからだ。

賊の一人に鮮やかな蹴りを決めた後にサンジはルフィを振り返った。

「お前…さっきの」
「へェ〜王子って強いんだな」

倒れた賊たちを見てからルフィはサンジにニカッと笑った。

「あ?おれのこと知ってるのか?」
「ゾロに聞いたんだ〜あれ?ゾロ……いない」

ルフィは振り返ってもゾロはいなかった。

「えー……今の間に迷ったのか…あいつ、天才だな」

辺りを見回しても緑の頭は見当たらない。ルフィは感心した。

「おい、よそ見してんな。仲間と思われてるから殺されるぞ」
「あ、そっか。顔を隠してるから失礼な奴らだな!よし!負けねェぞ」
「あれは賊だから失礼でも仕方ねェの。それよりお前、戦えんのか?」

さりげなくルフィを背中に庇い、サンジはまだ大勢いる賊と向き合う。

「バカにすんなよ!おれは強ェぞ」

ルフィはサンジと背中合わせになり、構える。
剣を振り上げた賊の一人がルフィに向かって走って来た。しかし、焦ることなくルフィは剣を交わし相手の鳩尾に拳を沈めた。
賊はドサッと地面に倒れた。気を失ったのだろう。

「なかなかやるじゃねェか」

ルフィの勇姿にニヤリと笑い、サンジは前を向いた。
これだけ強いなら庇わなくても大丈夫だろうとサンジは自分の前にいる敵だけに集中した。

いつの間にか来ていたゾロも加え、三人はあっという間にその場にいた大勢の賊たちを倒した。周りには気絶した賊が転がっている。


「準備運動にもならねェ連中だな」

剣を収め、ゾロはつまらなそうに言った。

「ゾロも強ェんだな〜」
「まァな。お前もなかなか強いじゃねェか」

ニヤッと笑ってゾロはルフィを見た。

「えへへ、当たり前だ。でも、これぐらいなら王子一人で平気だったな〜」
「まァ、それもそうだが予定より早く済んだ。サンキュー。あと『王子』って呼ばれるのは嫌いなんでね。名前で呼べ」

サンジは足元にいる賊を足で避けながらルフィに近づく。

「ん?そうだったのか。悪いことしたな〜でも、名前知らねェぞ?あっ、ちなみにおれはルフィだ。あれはゾロ」
「サンジだ。庶民派王子だからお前の口調や無礼な態度も気にならない」

サンジは笑いながらルフィの額をド突いた。

「いて!気にしてるじゃねェか」
「アホ王子、結局なんの騒ぎだったんだ?」

額をさするルフィとサンジの間に立ち、ゾロは気になっていたことを聞いた。

「おい、今、なんつった?」
「アホ王子」
「おれは王子って呼ばれるのが嫌いっつったよな?しかもアホじゃねェよ!どんだけ失礼なんだ、てめェ」

ケンカが始まりそうな雰囲気を察し、ルフィはサンジとゾロの間に割って入った。

「お、落ち着けよ!アホでも王子なんだぞ?いいじゃねェか」
「良くねェよ…お前、フォローも下手くそだな」
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