novel
□小さな僕の妖精
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暖かい日差しに、リディアはついうとうととしてしまっていた。
窓を開け放した部屋には、そよそよと優しい風が、カーテンとリディアの髪を揺らし、はいりこんでくる。
「リディア、風邪ひくよ」
聞き慣れた声とともに肩に温もりが伝わり、目を開けると、端正な顔が心配そうに覗きこんでいた。
エドガーがロッキングチェアでうたた寝していたリディアに、ショールをかけてくれたらしい。
「平気よ。こんなに暖かいんだもの」
リディアの健康状態に過敏になっているエドガーを安心させるように、リディアは微笑んだ。
「そう?少し肌寒いよ」
そう言いながらエドガーは、床に膝をついてリディアの腰をひきよせた。
「きっとお腹の姫君もびっくりしてる」
そして少し微笑み、膨らんだリディアの腹部にそっと口付けた。
「エドガー。いつも生まれて来る子に姫君と呼んでいるけど、当たったためしがないわよ」
ふたりとも男の子だったのだ。
リディアは呆れながらも少し笑った。