novel
□愛してる
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エレイン、俺を愛せ――
お前は愛情なんてわからないくせに
わからないから教えてくれ
それは2人が結ばれた日のこと。マティアスは確かにそう言った。
わたしは充分に教えたぞ。
今日こそあいつに言わせてやるんだ。
愛してる。と…
「愛しているよ。アン。」
「あたしも愛しているわ。ジョ-。」
明るいうちから情熱的な口付けを交わす新婚夫婦に、エレインは思わず魅入ってしまった。
わたしたちと全然違うぞ。
軽い衝撃にたえながらエレインははっと気付いた。
あれ?マティアスがいない。
今日は久しぶりにふたりで町で買い物なのに!
あたりをキョロキョロしていると見慣れた背中は随分遠くにあった。
「こ、こらー!愛妻を置いてくってどうゆうことだよ!」
エレインは慌てて全力疾走し、体当たりでもするようにマティアスの背中に抱きついた。
軽くにらむ彼。
「 置いてくだぁ?あんたはどうしてすぐはぐれるんだ。子供じゃあるまいし、いいかげんにしてくれ。」
マティアスは途中で道草をくって勝手に消えたエレインをさがしていたのだ。
しかしそんなことは知らないエレインは冷たい態度に腹が立つ。
新婚夫婦なのに!
「お前が後ろを見ないからだ!」