おおふり

□結果、辿り着く場所1
1ページ/1ページ


「ね、こーすけ」
「どーしたよ」
「さよならしよっか」
「……は?」








日曜の午後、部活終わりのこーすけと帰り道に待ち合わせして、途中の公園に寄った。まだ寒いせいか人気はなくて、二人で隅のベンチに座っていた。手繋いでこーすけの肩にもたれて、周りから見れば普通に恋人同士だろう。

「なに、変な冗談言ってんの」

テレビでやってた高校野球のこととか、野球の話ばっかりしていたときに、あたしが不意に言った言葉にこーすけは目を丸くして体を離した。
当然だよ。もし立場が逆だったらきっとあたしも同じこと言ってる。でも、ごめんね、こーすけ。



「冗談じゃ、ないよ」
「っなんで!」
「あたしたち、高校別になっちゃうじゃんか。あたしこーすけと離れるなんて、堪えれない…っ」


4月からこーすけは西浦高校に、あたしは地元から電車で30分離れた高校に通う。因みに西浦とは反対方向。家は同じ街だし、会おうと思えばいつでも会える。でもあたしはバスケ部、こーすけは野球部に入部予定だから運動部同士会う時間なんて皆無。
簡単に、予想出来た。


「俺だって寂しい…けど!学校違ったくらいで気持ちは変わんねえだろっ」

小学校から同じなあたしにはよく分かる。こーすけは女の子の間ですごく人気がある。だから、こーすけから告白してきたときは夢かと思った(思わずこーすけの頬を抓っていた)。付き合い始めてからもあたし(彼女)がいるのを知ってか知らずか、告白する子もいた。生憎あたしはこーすけみたいにモテないから心配する必要はなかったんだけど(でも何回か告られたことはある)。
要はこーすけへの好きの気持ちがなくなることより、近くにいれないことが不安なの。


「自信、ない」
「俺のこと信じられない?」

ぶんぶんと首を横に振ったら抱きしめられた。いつもはこーすけにぎゅってされると嬉しいけど、今は素直に喜べない。別れるのが辛くなってしまう。だって好きの気持ちに変わりないから。


「あたしが、弱いだけだから…っ」
「…どうしても無理なの?」
「っごめん、ね…!」

こーすけの胸板を押して逃げるように走った。あたしを呼ぶ声がしたけど、振り向くワケにはいかなくて。ごめんね、こーすけは何も悪くないのに辛い顔させちゃって。

こーすけ、大好き。









結果、辿り着く場所1
(あれからもう、二年経った)




2008,03,31
------------
続きます、5話くらい?←

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ